研究課題/領域番号 |
19H04319
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
松林 誠 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00321076)
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研究分担者 |
芝原 友幸 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 上級研究員 (00355207)
小林 篤 東邦大学, 理学部, 訪問研究員 (30838917)
土田 さやか 中部大学, 創発学術院, 特任講師 (40734687)
牛田 一成 中部大学, 創発学術院, 教授 (50183017)
笹井 和美 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70211935)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ライチョウ / アイメリア / 原虫 / 寒冷地 |
研究実績の概要 |
本年度は、日本アルプスに生息する野生ニホンライチョウの糞便を337検体調査した。その結果、201検体(59.6%)でアイメリア原虫の感染が陽性であることが分かった。季節の経過により、6月以降、夏に向けて陽性率は上昇し、糞便中の原虫数も増加した。砂浴び場を含む生息地の土壌9検体を採取して検査を行ったところ、2検体からオーシストが検出された。しかし、1gあたりの原虫数は1個以下であり、形態的に原虫は成熟が完了しておらず、または内部構造が変性しており、感染能は欠失していると判定された。また、ライチョウの組織内の微少原虫を検出するため、同じキジ目である鶏に寄生するEimeria 原虫を抗原として、ポリクローナル抗体を調整した。野生ニホンライチョウの死亡個体の各種臓器について反応性を検証したところ、死後融解は激しかったものの消化管に寄生する原虫が交差反応し、検出ツールとして有用であることが確認できた。今後は本検出法を用いて、冬季における原虫の体内動態を解析する。また、国内のキジ目鳥類および野鳥におけるEimeria 原虫検査を開始した。また北欧に生息するライチョウ亜種のアイメリア原虫の遺伝子解析を実施するため、その調査を進めるための各種共同研究手続きが完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広大な日本アルプスにおいて、特に中央および南アルプスでの調査対象エリア等が決定し、予備原虫解析が完了した。
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今後の研究の推進方策 |
近年の日本アルプスのライチョウの季節性感染動態が明らかになり、感染源として土壌検体の予備調査が実施出来た。次年度はさらに詳細に感染源および原虫の越冬環境を解明するための採材を実行する。また北欧ライチョウの調査を実施し、遺伝子解析を進め、日本国内の株と塩基配列を決定する。また、国内のキジ目鳥類の原虫調査を進め、ニホンライチョウに寄生する原虫の環境および寄生適応進化を考察できる分子系統樹を作成するために基盤データを収集する。
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