研究課題/領域番号 |
19H04323
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
竹内 やよい 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (50710886)
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研究分担者 |
Gasparatos Alex 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 准教授 (20726369)
祖田 亮次 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (30325138)
石濱 史子 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (80414358)
鮫島 弘光 公益財団法人地球環境戦略研究機関, その他部局等, リサーチマネージャー (80594192)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生態系サービス / サラワク州 / 森林管理区 / 森林構造 / 低インパクト伐採 / 森林回復 / フタバガキ科 |
研究実績の概要 |
今年度より海外渡航が再開し、森林管理区等での現地調査を実施した。また現地のカウンターパートや共同研究者と会合を定期的に設け、論文作成や既存のデータを用いた解析を進めた。 マレーシア・サラワク州において林業は歴史的に主要な産業と位置付けられており、天然林は丸太・木材等の森林資源・生態系サービスを提供する場である。対象地域であるビンツル省では、持続的林業経営認証を取得している森林管理区が存在している。この森林管理区においては、伐採履歴の記録があるため、伐採から5年から37年以上経過した伐採林を特定し、5つの固定サンプルプロットを設置した。このプロットでは、胸高直径10cm以上の樹木個体を対象として2018年からモニタリングを行っている。このプロットのデータを用いて、伐採後、森林構造がどのように回復するかを明らかにすることを目的とした解析を行った。結果、胸高直径断面積合計やフタバガキ科比率は、伐採からの経過年数に沿って増加する傾向がみられた。また、伐採後間もない森林では、成長率・死亡率がともに高いことがわかった。これらの結果から、伐採された森林は時系列に沿って回復しており、またフタバガキ科比率は、回復の指標になることも示唆された。一方、37年間伐採がなかった森林においても、原生林と比較すると、森林構造が完全に回復しているとはいえない。森林構造の回復過程の理解のためには、さらなるモニタリングを実施して、経年変化の程度や回復速度を明らかにする必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年前半に予定していた渡航はキャンセルされたが、後半に地上調査を再開することができた。現地のカウンターパートとは、定期ミーティングを実施し、連携体制を維持するとともに、既存のデータを用いた研究について進め、論文をまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、野外調査を進める。またこれまでの調査データとGIS解析に基づいた広域での解析に取り組み、結果をまとめる。特に、森林管理区における持続可能な管理についての提言を行う。
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