研究課題
今年度は、過去約40年間の森林の消失・劣化・回復・原生状態の維持について、収集したGISデータを基に、主要な4つの土地利用区分(林業施業区、プランテーション、保護区、村)における森林の変化を解析した。1982年から2022年までの森林の消失・劣化の合計面積割合は、プランテーションで最も高く90%、林業施業区と村ではそれぞれ54%、56%であった。一方、保護区でも27%の面積がこの期間中に劣化していた。劣化しなかった森林の割合は、保護区で最も高く70%、林業施業区で40%、村で36%、プランテーションではわずか7%であった。回復はどれも僅かで3~4%程度であった。これらの結果から、この地域ではプランテーション開発や林業による森林消失・劣化が進む一方、村の周辺地域でも生業の変化による森林劣化が進行していることが考えられた。保護区は森林劣化を防ぐ効果が大きいと考えられるものの、劣化も進んでいることから、管理上の課題が存在することが示唆された。次に、保護区・焼畑後の休閑林・森林施業区の森林プロットデータを用いて、地上部バイオマスと樹木種多様性の比較を行った。結果、地上部バイオマスは保護区で最も高く平均492Mg/ha、次いで森林施業区で平均355Mg/ha、休閑林で平均204Mg/haであった。また種多様性・保護指定種の割合は森林施業区>保護区で高く、休閑林は低かった。これらの結果から、保護区だけでなく森林施業区も地上部バイオマスや種多様性の保全に重要な役割を果たしていること、焼畑など皆伐後の森林のバイオマスや種多様性の回復には長期間が必要であることが示唆された。また、コロナ禍で延期していた各村でのインタビュー調査を実施した。2011-2012年の世帯調査と比較すると、生業が稲作からオイルパームやコショウなどのコモディティに変化していた。今後、森林変化の結果と合わせて解析を進める。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 図書 (2件)
International Journal of Geoinformatics
巻: 20 ページ: 11~26
10.52939/ijg.v20i2.3061
人文研究
巻: 75 ページ: 53~70
社会と災害文化研究所所報
巻: 1 ページ: 31~36
Tropics
巻: 32 ページ: 1~14
10.3759/tropics.MS22-07
Environmental Research: Ecology
巻: 2 ページ: 035003~035003
10.1088/2752-664X/acf9a9