研究課題/領域番号 |
19H04324
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横山 俊 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30706809)
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研究分担者 |
伊藤 隆 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 准教授 (40302187)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 銅ナノワイヤ / 透明導電膜 / クエン酸 / ガルバニック置換反応 / 銀 / 耐久性 / 透過率 / シート抵抗 |
研究実績の概要 |
本年度は、銅ナノワイヤに対して、表面残存物・酸化物を除去した上で、安定金属による被覆を行い、高い性能および耐久性を有する透明導電膜形成を目的としていた。 銅ナノワイヤは合成時に使用される界面活性剤が表面に残存し、透明導電膜とするためのナノワイヤネットワーク形成時にナノワイヤ同士の接触部分において、界面活性剤がナノワイヤ接触を阻害し、低い導電性となる。また、界面活性剤を除去した場合には、銅の安定性の低さから酸化物が形成され、界面活性剤を除去しても、酸化物接触となり、導電性は向上しない。そこで、ネットワークを形成後に、クエン酸を用いて銅ナノワイヤを処理することで、界面活性剤除去、酸化物除去、更にクエン酸による表面安定化を試みた。銅ナノワイヤは、pHを中性に制御したクエン酸溶液中では酸化物が安定であるため、界面活性剤は脱離し、酸化物が形成され安定化する。その後、酸性のクエン酸で処理することで、酸化物が除去され、クエン酸によって被覆可能であることを見出だした。この際に、ネットワーク形成後に処理を行っているため、ナノワイヤの金属接触は維持され、その上でクエン酸が被覆される状態が創出され、高い性能と数日の安定性が付与された。しかし、長時間においてはクエン酸被覆銅ナノワイヤも徐々に酸化し性能が劣化する。そこで、クエン酸処理後に、Ag種を含むクエン酸溶液と処理することで銅と銀のガルバニック置換反応によって、銅ナノワイヤ表面を銀で置換することを試みた。一般的にガルバニック置換反応速度は非常に速く、均一な被覆は達成されない。しかし、クエン酸溶液を用いた本処理では、反応速度を制御することが可能であり、均一なAg被覆を達成した。その結果、性能は透過率88.2%、シート抵抗 99 Ω/sqまで改善し、被覆状態の制御によって、高温高湿条件下においても300時間以上の耐久性を発現することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りの表面残存物と酸化物除去の上で、ガルバニック置換反応を利用して均一なAg被覆を達成し、性能、耐久性も著しく向上していることから、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は計画通りに進行しているため、次年度以降も研究計画に従って、研究を進展させる。
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