研究課題/領域番号 |
19H04329
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
橋本 征二 立命館大学, 理工学部, 教授 (30353543)
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研究分担者 |
谷川 寛樹 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90304188)
山末 英嗣 立命館大学, 理工学部, 教授 (90324673)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 資源効率 / 環境効率 / シェアリング / リマニュファクチャリング / 関与物質総量 |
研究実績の概要 |
a) 天然資源が採取され最終処分されるまでに生み出す価値の計測手法の開発:リユースやリサイクルを含む物質フロー情報をsupply-driven型のモデルと結びつけ、天然資源の「生涯」にわたって生み出される価値を推計する手法を開発するため、2019年度は、木材、鉄、砂利・砕石等を対象とした物質フローの推計とその行列表記を行った。材料としてのリサイクル等を表現した物質フローを推計し、その投入産出表を作成した。各種統計等を用いて物質フローを推計したが、このとき産業連関表との対応づけを行ってプロセスを設定した。 b) 資源効率を高める様々なアプローチの個別計測手法の開発:居住・移動・洗濯・飲食等の生活活動を対象に、8つの活動ー1)製品の使用回避、2)製品の稼働率向上、3)製品の長期活用、4)製品の使用ロス削減、5)製品の省資源化、6)容器包装の省資源化、7)生産工程の省資源化、8)再生資源の活用ーの計測手法を開発するため、2019年度は、主として6)~8)の検討を行った。 c) 天然資源利用の削減による環境影響の削減効果の計測手法の開発:関与物質総量についてはその対象範囲と信頼性、環境影響で重み付けした資源消費については資源が利用される段階での環境影響の配分方法に関して手法上の改善を行い、これを適用した事例研究を行った。関与物質総量については、水を含めるかどうか、エネルギー消費に関わる資源消費を含めるかどうか、等がその違いとなっているほか、鉱山によるばらつきの扱いが課題となっていることから、2019年度は、前者についてその違いを明確にするとともに、後者について不確実性の評価を行い、関与物質総量係数に不確実性情報を追加して改善した。また、環境影響で重み付けした資源消費については、2019年度は、資源が利用される段階での環境影響の配分方法について、いくつかの方法を試行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
b)資源効率を高める様々なアプローチの個別計測手法の開発、については若干遅れがあるものの、a)天然資源が採取され最終処分されるまでに生み出す価値の計測手法の開発、については予定以上に進捗しており、全体としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
a) 天然資源が採取され最終処分されるまでに生み出す価値の計測手法の開発:リユースやリサイクルを含む物質フロー情報をsupply-driven型のモデルと結びつけ、天然資源の「生涯」にわたって生み出される価値を推計する手法を引き続き開発する。今後は、いくつかの天然資源(木材、鉄、銅、砂利・砕石等)を対象とした物質フローの推計とその行列表記を引き続き行うとともに、作成した投入産出表をもとに状態推移確率行列を作成し、各プロセスに産業連関表をベースとした付加価値を紐づける。また、可能なものについては、状態推移確率行列を無限に乗じ、物質が最終処分されるまでに繰り返し利用される中でどのプロセスを何度経由するか推計し、各プロセスを経由するときに生み出される価値を合計することで、当該天然資源が「生涯」にわたって生み出す価値を推計することを試行する。 b) 資源効率を高める様々なアプローチの個別計測手法の開発:居住・移動・洗濯・飲食等の生活活動を対象に、8つの活動ー1)製品の使用回避、2)製品の稼働率向上、3)製品の長期活用、4)製品の使用ロス削減、5)製品の省資源化、6)容器包装の省資源化、7)生産工程の省資源化、8)再生資源の活用ーの計測手法を開発するため、今後は、主として1)~5)の検討を行う。 c) 天然資源利用の削減による環境影響の削減効果の計測手法の開発:関与物質総量についてはその対象範囲と信頼性、環境影響で重み付けした資源消費については資源が利用される段階での環境影響の配分方法に関して手法上の改善を行ったことから、今後は、b)で検討するような1)~8)の事例に対して、同手法を適用し、天然資源消費が削減されたことによる環境影響の削減効果の推計を試行する。
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