研究課題
2020 年夏、北海道の寿都町が文献調査へ応募すること、さらに同じ北海道の神恵内村が国の文献調査の申入れを受諾することが明らかになった。2020 年11月、国(経産大臣)の認可によって、寿都町と神恵内村における文献調査が正式に開始された。日本における初めての文献調査の正式着手であり、日本の地層処分政策は新たなステージに移行したといえる。本研究は、新たなステージに移行した日本の地層処分政策の今後を考えるうえで、最も基本的な点である市民はどのような判断基準(要因)で地層処分政策を受け入れたり、受け入れなかったりするのかを、市民会議アンケート・データを用いて、社会的受容性アプローチから分析・考察した。市民の地層処分政策の選好に関する社会的受容性アプローチによる要因分析を踏まえ、市民の地層処分政策に対する賛成や反対や中立(中間)という政策選好を、専門家との対話や市民間における対話によって変化させることは難しく、地層処分政策への賛成であれ反対であれ中間であれ,多数派を形成することを住民対話の目的とすることは合理的ではないことを明らかにした。そのうえで、賛成・反対・中間に関わらず、多くの市民が共通に持っている政策プロセスへの関心事項である情報公開や市民参加の促進、さらには段階的で柔軟な処分方法の検討を、住民対話などを通じて具体的に展開することの重要性を明らかにした。こうした情報公開、市民参加、段階的で柔軟な処分方法の検討を進めることが、政策プロセス全体に対する市民の納得感を醸成することにつながる。地層処分政策あるいは暫定保管政策には異論があっても、こうしたプロセスやガバナンスによって多様な対話が十分に行われ、多様な処分方法の検討が十分に行われたのであれば、賛成であれ反対であれ中間であれ、最終案に対する、多くの市民の社会的納得性が醸成される可能性が大きいことを明らかにした。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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アジア太平洋討究
巻: 44 ページ: 77-100
環境情報科学・学術論文集
巻: 36 ページ: 1-7