研究課題/領域番号 |
19H04345
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
本下 晶晴 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究グループ長 (50371084)
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研究分担者 |
橋本 征二 立命館大学, 理工学部, 教授 (30353543)
近藤 康之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80313584)
南齋 規介 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 室長 (80391134)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 環境ホットスポット分析 / 食料生産 / グローバルサプライチェーン / プラネタリー・バウンダリ / 構造経路分解 |
研究実績の概要 |
持続可能な食料生産と消費に関わる環境リスクを分析・特定し、より効率的な改善策の立案に資することができる手法を開発することを目指し、本年度は以下の課題に取り組んでおり、これまで研究実績として以下のような成果が得られた。 【食料生産に関わる環境負荷量の算定】食料生産に関わる直接的な環境負荷として、水資源消費、栄養塩排出の2つをまずは対象として各国における環境負荷量を水循環モデルや栄養塩利用に関する統計・モデルを用いて推定し、GLIOモデルのセクターに連結するための配分作業を継続して行った。また、3つの環境側面について、環境容量超過リスクを評価することのできる指標の開発として、既存のプラネタリー・バウンダリ、エコロジカル・フットプリントに関する研究を整理し、それぞれの適用可能性に関する事前評価を行った。 【国際産業連関分析モデルにおける貿易構造の細分化】国際産業連関分析モデル(GLIO)を用いることで食料生産に関わる直接・間接的な環境負荷を世界のサプライチェーン全体で評価するため、各国間での貿易品目についての細分化を進めた。対象とする環境負荷項目全体に渡って重要な影響を有するセクターの洗い出しを行い、その結果に基づいてUN Comtradeデータベースを用いて日本で消費される食料に関わる品目をこれまでのGLIOモデルから更に細分化し、より実態に近い環境リスクの特定につながる産業連関分析モデルへと発展させるための準備・作業を継続して進めた。 【構造経路解析における地域、セクターの詳細化への対応】複雑な世界のサプライチェーン構造におけるホットスポットを特定するため、構造経路分析モデルを援用することでその実現を目指し、本年度は詳細な地域およびセクターの区分に対応した構造経路分析モデルの高解像度化を進め、現在のGLIOモデルのプロトタイプデータを適用した分析を行うための準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画に従って概ね順調に進展している。ただし、COVID-19の影響により一部の成果発表や研究協力が得られる予定であった海外研究者との共同作業に支障が生じているが、オンラインでの会合などを活用することで全体の進捗に対する影響は比較的軽微なものに抑えることができている。
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今後の研究の推進方策 |
食料生産に関わる環境負荷データの調査・収集とその国際産業連関分析モデルへの結合に向けた解析作業には海外研究協力者との協力が不可欠であり、現在の状況を鑑みて可能な限りオンラインでのコミュニケーションにより進められる作業を推進することを継続し、全体の作業を予定通り実施できるよう務める。並行して、国際産業連関分析モデルと環境負荷データとの接合に向けて過去の推計結果を基に優先的な対策が必要なセクターの抽出を行うなどにより、海外共同研究者との連携作業以外の部分で進められる作業を効率的に進める。
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