研究課題/領域番号 |
19H04364
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
杉木 明子 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (40368478)
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研究分担者 |
加茂 省三 名城大学, 人間学部, 教授 (10410771)
村尾 るみこ 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (10467425)
網中 昭世 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センターアフリカ研究グループ, 研究員 (20512677)
落合 雄彦 龍谷大学, 法学部, 教授 (30296305)
眞城 百華 上智大学, 総合グローバル学部, 准教授 (30459309)
飛内 悠子 盛岡大学, 文学部, 准教授 (40773411)
秋山 肇 筑波大学, 人文社会系, 助教 (40844113)
米川 正子 明治学院大学, 国際平和研究所, 研究員 (80626474)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 難民 / 帰還 / 強制送還 / 終了条項 / ノン・ルフールマン原則 / アフリカ / 庇護国統合 / UNHCR |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アフリカにおける難民の帰還を行う際の諸条件と政策を包括的に検討し、帰還モデルを提案することである。本研究では以下の点を中心に調査・研究することを予定している。 ①難民の帰還政策の分析、②帰還事業の問題点と成果に関する評価、③帰還民の移動と再統合、④帰還民と受入社会の関係、⑤難民出身国の近隣諸国における補足調査 2020年度は研究プロジェクトの2年目であり、上記の5つの課題のうち、①、③、④に焦点あて、各自の研究分担に応じて、フィールド調査を行う予定であった。そして、フィールド調査から得られたデータや情報をふまえて、事例の検討を行い、移動のパターンをモデル化することを計画していた。 しかしながら、新型コロナ感染症の拡大により海外への渡航ができなくなったため、以下のような国内にとどまりながらも可能な調査・研究を実施した。第1は、研究分担者が担当している事例に関連した歴史、社会文化に関する資料の収集および精読である。第2は、2019年度に行った調査で得られたインタビューを利用した、テキスト分析、計量分析の試験的な導入による解析である。第3は、オンラインを利用したサーベイや現地協力者に依頼したインタビューの実施である。 これらを通して、アンゴラ、モザンビーク、南スーダン、ソマリアにおける難民の帰還にはいくつかの共通点が明らかになっている。第1は、移動の形態、移動のパターンの多様性である。第2は、帰還に伴うリスクやダメージを回避するために、家族や世帯が分散して移動している点である。第3は、社会的ネットワークや教育の機会が移動や残留の決定に大きな影響を与えている点である。第4は、多くの難民にとって帰還は移動の一つの形態にすぎず、出身国の状況次第では、再び「再難民化」になる可能性があることである。上記の点が他の地域にも該当するかどうかはさらなる調査が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、難民の帰還や庇護国残留の実態を分析する上で、現地調査は不可欠である。しかしながら、新型コロナ感染症の拡大に伴い、海外渡航が不可能となり、現地調査ができなくなった。これを補足ために、現地協力者に調査を依頼したり、オンラインサーベイなども実施した。しかし、本研究では調査者と被調査者(難民や元難民)の信頼関係が不可欠な調査であるため、インタビュー等で得られた回答がどこまで被調査やの本音や実態に迫ることができたのか、という点で懸念すべき点がある。
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今後の研究の推進方策 |
海外渡航が可能となれば、2020年度に実施できなかった海外調査を進め、対象事例の情報やフィールド調査で難民や元難民の実態を調査し、データの蓄積を図る。また、これまで研究代表者および研究分担者が実施した調査から得られたデータを比較し、移動のパターン化やモデルを考案していく予定である。
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