研究課題/領域番号 |
19H04370
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
横田 貴之 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (60425048)
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研究分担者 |
吉川 卓郎 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (30399216)
石黒 大岳 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 研究企画部, 海外研究員 (30611636)
末近 浩太 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70434701)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 現代中東政治 / イスラーム主義 / 地域研究 / 社会運動研究 / 思想研究 |
研究実績の概要 |
当研究課題の主たる目的は、2011年の「アラブの春」以降の中東地域のムスリム同胞団を事例に、当該地域の「政治と宗教の関係」を分析することである。本研究の大きな流れは、2019年度:各国同胞団の実態解明→2020年度:各国同胞団の比較考察と中東域内での同胞団の実態解明→2021年度:同胞団の政治的帰結分析を通じた政治と宗教の関係の考察、となる。 2019年度は、各国同胞団の思想・活動・組織構造の実態を解明するために、各メンバーが現地調査・文献調査を進めるとともに、その研究成果発表を行った。 研究代表者の横田は、中東・欧州在住の同胞団員・関係者とのメール・SNSによるインタビュー調査、文献・資料研究を継続した。2020年3月に予定していたトルコ・欧州出張が新型コロナウイルス感染拡大で中止となったが、それを補う情報収集が可能であった。研究分担者の末近は、レバノンでの現地調査を行い、ヒズブッラーおよびスンナ派イスラーム主義運動・イスラーム政党関連の一時資料収集とインタビューを実施した。分担者の吉川は、文献・資料研究を中心にヨルダン同胞団の研究を進めた。分担者の石黒はクウェートでのサバチカル研究滞在を活用し、湾岸諸国の同胞団に関する現地調査を実施した。 研究成果の発表については、ギリシャでの地中海学会、セルビアでの中東欧国際政治学会・米国際政治学会合同大会(CEEISA-ISA Joint international Conferenc)などの国際学会で代表者・分担者が報告した。この他にも、当該研究課題に関する論文刊行、国内外での報告(台湾での国際シンポジウム、日本比較政治学会)を行った。また、研究会を適宜実施した(4回)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究課題では、各国同胞団の思想・活動・組織構造の実態調査を概ね計画通りに実施できた。研究代表者・分担者は担当国の同胞団および関連するイスラーム主義運動について、インタビューや資料分析を通じてその現状を明らかにできた。また、研究成果の発表も順調に行うことができた。2020年3月は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたが、おおむね十分な研究活動を行うことができた。 以上の理由から、当初研究計画から大きく逸脱することなく、研究目標をおおむね達成できたと自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、各国同胞団の比較分析、域内での活動・国際ネットワークの実態解明を行う。2021年度は、比較政治学と社会運動研究の知見・理論を参照し、同胞団が各国・域内政治へもたらした政治的帰結を分析し、「アラブの春」以降の中東地域における「政治と宗教の関係」の実態と変容を解明する。 2020年度については、研究代表者・分担者は、それぞれが2~3週間の現地でのフィールド調査・文献資料収集を実施し、国際学会での研究成果発表を行う予定である。地域情勢悪化や新型コロナウイルス感染拡大等によって海外出張が不可能になった場合の対応策として、調査地の柔軟な変更、調査先とのSNSなどを通じた情報交換、ZOOMなどのウェブ会議システムを利用した意見交換などによって適宜対応する予定である。実際に、報告予定であった複数の国際学会が中止・延期になっているため、柔軟に別の学会での報告や国際ワークショップの実施などを検討している。
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