研究課題/領域番号 |
19H04375
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研究機関 | 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
鬼木 俊次 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 主任研究員 (60289345)
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研究分担者 |
平田 昌弘 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (30396337)
加賀爪 優 京都大学, 学術情報メディアセンター, 研究員 (20101248)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エチオピア / アファール / 牧畜 / 社会規範 / 市場 / 遊牧民 / 開発経済学 / 文化人類学 |
研究実績の概要 |
エチオピアの乾燥地では、近年、伝統的な自給自足社会に市場経済が導入されつつあるが、それにともないコミュニティー内の相互扶助の規範が薄れ、所得の拡大と社会の不安定化が進むのではないかという懸念がある。本研究の目的は、エチオピアの牧畜民社会における市場経済の浸透により、食物のシェアリングなど伝統的な互助規範がどのように変容するのかを解明することである。 エチオピア国アファール州の政情が安定し、危険度が低いため、アファール州を調査地と決めた。まず、アファール州の州都サマラにあるサマラ大学経済学部を研究分担者とともに訪問し、今年度から始まる科研費の研究活動の準備を行った。共同研究の活動内容について協議するとともに、現地情報を収集し、調査対象とする村を選択した。 また、アファール州政府機関を訪問し、州の各種統計を入手した。州政府担当者と相談の上、初年度の調査地はアファール州中部サマラ周辺地域に決めた。具体的な調査対象とする村を選ぶために郡政府を訪問し、ランダムに3つの村を選択した。また、エチオピアの大学と研究分担者のいる帯広畜産大学を含め三機関で共同研究協定を締結した。再度、調査地候補の三つの村を訪問し、調査の準備を行った。サマラ大学本部で調査員の研修を行い、その後牧畜地域の村でランダムサンプリングによるアンケート調査を行った。また、研究分担者は2回の出張を行い、都市周辺部およびアグロパストラル地域の牧畜民の文化人類学的な参与観察調査を行った。 調査終了後、各種データの確認および集計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり、エチオピアの大学、帯広畜産大学の3者で共同研究協定を締結した。 当初想定していた現地牧畜民のランダムサンプリング調査および文化人類学をそれぞれ2回実施した。調査の実施回数については当初の想定以上の進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
牧畜経済調査においては、まず前年度の調査データの整理と計量経済分析を行いつつ、文献調査を行う。次にエチオピア国アファール州の広域的な調査地を選択し、その地域のリーダーと調査について打ち合わせを行う。そこで予備調査を行う。また、調査地の全世帯リストを作成し、それを用いて無作為抽出を行って、調査リストを作成する。予備調査結果を踏まえて、本調査で用いる調査票を作成する。次に、現地調査員の研修を行い、調査員に十分に調査、実験の手順を把握させる。その後、選択した遊牧民に対する牧畜民の本調査を行う。本調査ではグループ調査と個別調査を組み合わせて、牧畜民の社会規範やモラルと市場アクセスとの関連性に関する概況を把握する。文化人類学調査では、地域ごとに異なる牧畜民コミュニティーの規範の違いを明らかにするために、地理条件の異なる地域を選択する。次に、牧畜民世帯に滞在しながら牧畜民の市場経済への対応に関する聞き取りおよび生活状況や市場購入・販売に関する参与観察を行う。
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