研究課題/領域番号 |
19H04394
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
中野 貴之 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (00435827)
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研究分担者 |
青木 徹 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (10283350)
井上 翼 静岡大学, 工学部, 教授 (90324334)
本田 善央 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (60362274)
小島 一信 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (30534250)
嶋 紘平 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (40805173)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中性子検出 / 半導体検出器 / イメージングセンサー / BGaN / III族窒化物半導体 |
研究実績の概要 |
中性子イメージングセンサーの実現に向けて、検出素子となるBGaN半導体検出器の高性能化に取り組んだ。 中性子捕獲元素であるB原子の高濃度化を実現するために結晶成長メカニズムの検証を行い、成長雰囲気がBGaN結晶成長にどのような影響を及ぼすかを評価した。BGaN成長時における表面吸着原子の脱離がGaN成長と比較して低温で発生していることを明らかにしてたことから、低温成長条件での成長雰囲気について詳細に検討を行った。一般的な化合物半導体結晶成長のキャリアガスに用いられる水素キャリアガス雰囲気では、低温成長条件においても表面でB原子が吸着せず脱離が活発であり結晶成長が困難であることが明らかとなった。窒素キャリアガスを用いた場合にはB原子が取り込まれやすくなり、B組成の高濃度化が可能であるが、2%以上のBNモル分率では格子不整合に起因した表面平坦性の劣化などが確認された。膜厚の増加に伴う表面平坦性の劣化も確認し、B組成と膜厚の関係性を考慮したデバイス作製が重要であることを明らかにした。 当初目標であったBNモル分率2%のBGaN結晶の作製を実現したが、デバイス特性への影響を考慮し、BNモル分率1.5%で厚膜結晶作製を実施し、20μmの結晶成長を実現した。 このような最適化した低温成長条件を用いてBNモル分率1.5%の7μmのBGaN結晶を用いてデバイス作製を行い、作製した7μm-BGaN pinダイオードにより中性子捕獲率の向上を達成し、デバイス作製の基礎技術を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BGaN結晶成長技術において成長雰囲気依存性を明らかにして、水素キャリアでの結晶成長が困難であり窒素キャリアを用いた低温成長が良いことを明らかにしたことで、高品質なBGaN結晶の作製の知見を得るに至っている。 厚膜成長技術も確立しており、7μmのBGaN結晶によるデバイス作製によって中性子検出効率の向上を実現したことから、デバイスプロセス技術の開発によりマルチチャネル検出器の実現が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
BGaN結晶成長技術の基礎検討は継続して行いながら、再現性の高いBGaN結晶を用いてデバイス作製の検討を実施する。特に、チップサイズが検出特性に与える影響を詳細に検討することでp型GaN層を下部層に用いているpin構造の検出特性の影響について詳細に検討を実施する。 また、各チップサイズの検出器におけるα線・中性子検出効率について比較検証を行うことでチップサイズが検出効率に与える影響と中性子捕獲反応に及ぼす影響を明らかにする。
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