研究課題
中性子イメージングセンサーの実現に向けて、BGaN半導体検出器の試作および評価を実施した。基盤技術となるBGaN結晶成長技術において、p型GaN上へのBGaN成長時にヘテロ界面に発生するボイドがデバイス性能に大きな影響を与えることが確認されたため、ボイド発生を抑制するための成長技術の検討を実施した。ヘテロ界面形成時においてボイドが発生する原因として成長初期におけるB原子の付着が影響していることが明らかとなったため、成長初期においてB原料濃度を抑制して徐々に高濃度化させる組成傾斜層の導入を行った。組成傾斜層の導入によりボイド形成の抑制および結晶性の向上が達成された。本技術により作製されたBGaN結晶を用いて検出器の作製を実施し、電気特性評価を実施したところ結晶性向上によるリーク電流の低減および耐圧の向上が確認された。またα線を用いた放射線検出特性評価からノイズ領域の低減により、信号波形の全半値幅の改善が確認された。一方で、組成傾斜層により界面近傍でのB組成が減少することに由来する中性子捕獲率の減少も確認されたことから、組成傾斜層の膜厚に関する更なる検討が今後の課題であることが示唆された。マルチアレイ検出に向けた取組として、結晶の有効面積の拡大および均一性の向上の取り組み、2inch成長プロセスを実現するに至った。面内均一性も良好であり、エッジ部以外での結晶性およびB組成の良好な面内均一性を達成した。均一なBGaN結晶を用いてマルチチャネルの検出器作製を実施し、信号検出実験を実施した3チャネルでのα線検出実験を行った結果、各チャネルにおいて同様のピーク位置および全半値幅のピーク検出を達成しており良好なマルチチャネル検出特性を得るに至った。これらの結果から、本研究の目標であったBGaNイメージングセンサーに向けた基礎技術の構築を達成した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Applied Physics
巻: 130 ページ: 124501~124501
10.1063/5.0051053
https://wwp.shizuoka.ac.jp/nakano/