研究課題/領域番号 |
19H04408
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
筒井 智嗣 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 主幹研究員 (70360823)
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研究分担者 |
久保野 敦史 静岡大学, 工学部, 教授 (70234507)
金子 耕士 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (30370381)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | X線非弾性散乱 / 中性子非弾性散乱 / 放射光メスバウアー分光 / 物質機能発現の階層構造 |
研究実績の概要 |
当該期間中はコロナ禍で予定通り進めることが困難な中で、これまで実施してきた主に時間に関する研究成果が得られた。一つは、Irの酸化物に関するテーマ、もう一つはSmの金属間化合物に関するテーマである。 前者に関しては、Ca5Ir3O12という未知の逐次相転移を示すことが知られていた。この化合物において、放射光X線による回折実験と放射光メスバウアー分光を行うことによって、105 Kで観測される相転移が電荷不均化を伴う構造相転移であることを明らかにした。層状六方晶という結晶構造から積層面内の構造相転移が生じるという予想に反して3次元的な相転移であることが明らかとなった。また、相転移温度の上下においてIr-193メスバウアー・スペクトルが明瞭な変化を示し、電荷不均化が生じていることを示唆した。さらに、相転移の上下の相においてもスペクトルの変化が観測され、その変化はd電子が結晶中を時間的に動き回っていることを示唆している。 後者に関しては、種々のSm金属間化合物に対して、PHzオーダーでの観測感度を有するX線吸収分光とMHzオーダーでの観測感度を有するSm-149メスバウアー分光を併用して電子状態に関する知見を得た。Sm3Tr4Ge13(Tr = Ru, Rh)に関しては並行して実施したμSRから磁気揺らぎも生じていることが明らかとなったが、X線吸収分光とSm-149メスバウアー分光の結果を組み合わせることで、中間価数を示す多くのSm化合物が価数揺動状態にあることを明らかにした。加えて、異性体シフトと平均価数の間に1次の相関があることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍による移動制限及び実験施設への入域制限などにより、対面でなければ困難な実験技術に関する研究分担者や研究協力者との指導が困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の状況の変化に対応しながら、様々な制限下で着手できそうな技術的・学術的課題を解決しながら、研究目的達成に向けた活動を推進する。
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