最終年度にあたり、以下(1)から(3)の作業を経て、(4)システムの評価実験と本研究の成果発表を兼ねたコンテンポラリーダンスの劇場公演を実施した。 (1)モーションデータの加工・編集およびモーションデータベースの構築に関しては、これまでに収録したデータについて、振付シミュレーションシステムで活用するための加工・編集を行った。この作業は、龍谷大学において研究分担者の指導のもと、学部生・大学院生の協力で進めた。 (2)振付創出アルゴリズムの考案に関しては、前年度からの継続作業として、舞台上演のための創造的振付へ近づけるため、連携研究者を含めたプロフェッショナルなコンテンポラリーダンス振付家から意見と要望を収集し、要素動作の選択・分類・配列の更新を行った。 (3)システムインタフェースの構築に関しては、振付シミュレーションシステム“Body-part Motion Synthesis System”(以下BMSS)を可能な範囲で改良し、要素動作の再編成・再分類に加えて、振付語彙の創出に有用な機能の開発を行った。 (4)システムの評価実験に関しては、職業的な振付家に改良版BMSSを使用したコンテンポラリーダンス作品の創作を依頼し、東京都内の劇場において観客を集め、プロダンサーの実演による公演を2回実施した。本公演にあたっては、創作プロセスの観察、振付家・プロダンサーへの聞き取り調査と、観客163人へのアンケート調査を行い、さらに職業的な舞踊評論家4人に評価レポートの作成を依頼をして、本研究で提案する振付手法および改良版BMSSの評価を行った。なお、別途コンテンポラリーダンス振付経験者72人へのアンケート調査も行っている。 (5)研究成果の発表に関しては、国内外の学会において研究成果の口頭発表と論文誌へ投稿を行った。
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