研究課題/領域番号 |
19H04440
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三浦 重徳 東京大学, 生産技術研究所, 特任講師 (70511244)
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研究分担者 |
尾上 弘晃 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (30548681)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 血管ネットワーク / 力学刺激 / 管腔構造 / 脈動流 / 3次元血管モデル |
研究実績の概要 |
本研究では,マイクロ流体デバイス内に形成された3次元血管内皮管腔ネットワークを利用して,静脈弁形成関連遺伝子の発現と力学刺激との関連性を明らかにするとともに,適切な力学場を再構成することで,静脈弁のin vitro誘導を試みる. 本年度は,灌流可能な3次元血管ネットワークの形成と力学刺激負荷システムの構築を主な目的として取り組んだ.力学刺激を負荷するための血管ネットワークとしては,①ゲル内において血管内皮細胞の自発的な組織化により形成される管腔ネットワーク,②水溶性モールドを利用してゲル内に形成される人工的な管腔ネットワーク,これら2つの血管モデルの構築について検討を行った.①については,マイクロポスト構造を利用し,血管ネットワーク形成エリアとマイクロ流路間に血管吻合構造を形成可能なデバイスを独自に設計した.血管内皮細胞,線維芽細胞,I型コラーゲンおよびフィブリンから成る細胞・ゲル混合液をデバイスへ播種するが,これらの組成,デバイスへの播種方法などについても検討を重ね,50-100 μmの血管径を持つミリサイズの血管化領域の形成に成功した.共焦点顕微鏡,光干渉断層撮影(OCT)などにより管腔構造の形成も確認した.②については,3Dプリンタで形成された水溶性犠牲層を用いて,血管網を模したコラーゲンマイクロ流路の形成に成功した.シリンジポンプに接続されたコラーゲンマイクロ流路を顕微鏡下に設置された伸展チャンバ内に作製し,蛍光ナノビーズを注入することにより流路内の流れを可視化した.チャンバ伸展方法と送液を制御することにより,マイクロ流路内に脈動流を形成可能なモデルを構築することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞の自発的な組織化により形成される生体模倣性が高いモデル,コラーゲンゲルマイクロ流路により形成される単純化モデル,これら2つの血管モデル構築が順調に進んでおり,それらに対し力学刺激(伸展刺激,流体剪断力)を負荷するシステムについても準備が整っている.また,力学刺激を可視化するためのセンサータンパク質発現ベクター及び血管モデルへの力学刺激を長期に渡りリアルタイム観察可能な培養系の構築も概ねできており,計画通りに進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り,構築した血管モデルに力学刺激を負荷し,組織の形態変化、遺伝子発現の変化について解析を進めるとともに,構築したセンサータンパク質を導入した細胞において力学刺激の可視化が可能であるかについて検証を進める.
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