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2022 年度 実績報告書

記憶の痕跡を可視化する可塑性イメージング技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19H04449
研究機関国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

阿部 十也  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター, 部長 (60588515)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード磁気共鳴画像法(MRI) / 可塑性 / 学習
研究実績の概要

脳では、記憶形成の過程で神経可塑性が誘導され、微視レベルの神経回路のリモデリングが起こる。水拡散強調画像法という核磁気共鳴法(MRI)技術でヒト脳組織内の解剖構造変化を捉えることができる。経頭蓋脳磁気刺激で誘導した神経可塑性変化と並行して脳部位で解剖構造変化を観察した。MRIで捉えた解剖構造変化が神経可塑性と関係があるのか分かっていない。MRIで観察した構造変化が記憶の神経可塑性と関係することを実証するために本研究課題を実施した。
本研究ではラットの海馬の空間記憶学習に実験系を用いた。空間記憶学習で海馬NMDA受容体の活性化が起こり、神経可塑性を誘導する。MRI構造変化が記憶成績と関係があるかを調べた。ラットにBarnes迷路課題を行わせた。その前後でMRI評価を行った。偽学習(同じ運動量で統制され、空間学習を行なっていない)のラットと比較して海馬でMRIシグナル変化が観察された (unpaired t test, 海馬内部の多重比較補正 p < 0.05)。シグナル変化は海馬背側の歯状核およびCA1領域から腹側のCA3領域に跨って見られた。しかも学習終了後も持続した海馬CA1領域のMRIシグナル変化はBarnes迷路課題の長期記憶成績と有意な相関関係を示した(学習群のみ、相関係数 0.62、 p = 0.004)。以上から構造変化を反映するMRIシグナル変化は記憶と関係すると結論づけた。次に神経可塑性とMRIシグナル変化の関係性を検証するため、学習中にNMDA受容体拮抗薬を髄腔内投与して神経可塑性の阻害を行った。対象コントロール群には空間学習を同様に行わせ、生理食塩水を髄液注入した。NMDA受容体拮抗薬投与群では学習の大きさが小さくなり、海馬MRIシグナル変化が小さい傾向を示した(p=0.06)。以上から、NMDA受容体活性化とMRIシグナル変化の関係性を支持した。

現在までの達成度 (段落)

令和4年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和4年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] High Correlation among Brain-Derived Major Protein Levels in Cerebrospinal Fluid: Implication for Amyloid-Beta and Tau Protein Changes in Alzheimer’s Disease2022

    • 著者名/発表者名
      Hoshi Kyoka、Kanno Mayumi、Abe Mitsunari、Murakami Takenobu、Ugawa Yoshikazu、Goto Aya、Honda Takashi、Saito Takashi、Saido Takaomi C.、Yamaguchi Yoshiki、Miyajima Masakazu、Furukawa Katsutoshi、Arai Hiroyuki、Hashimoto Yasuhiro
    • 雑誌名

      Metabolites

      巻: 12 ページ: 355~355

    • DOI

      10.3390/metabo12040355

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A computational model based on corticospinal functional MRI revealed asymmetrically organized motor corticospinal networks in humans2022

    • 著者名/発表者名
      Eiji Takasawa †, Mitsunari Abe †*, Hirotaka Chikuda, Takashi Hanakawa †
    • 雑誌名

      Commutations Biology

      巻: 5(1) ページ: 664

    • DOI

      10.1038/s42003-022-03615-2

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Q&A―神経科学の素朴な疑問:神経線維の太さが変わるというのは本当でしょうか?2022

    • 著者名/発表者名
      阿部十也
    • 雑誌名

      Clinical Neuroscience

      巻: 40(7) ページ: 904-905

  • [雑誌論文] 脳・脊髄同時記録機能的MRI技術を用いたヒト認知神経科学研究の新展開2022

    • 著者名/発表者名
      阿部十也
    • 雑誌名

      Clinical Neuroscience

      巻: 41(1) ページ: 138-139

  • [学会発表] 脳構造MRIを用いた神経疾患の年齢予測の検証2022

    • 著者名/発表者名
      松島斗真, 吉永健二, 高村垣人, 舞草伯秀, 麦倉俊司, 森奈緒子, 布施昇男, 関口敦, 阿部 十也. 花川隆
    • 学会等名
      第52回 日本臨床神経生理学会学術大会(京都)
  • [学会発表] 軽度認知機能障害とパーキンソン病のMMNにおける縦断的比較2022

    • 著者名/発表者名
      羽金裕也, 志賀哲也, 戸田亘, 三浦至, 阿部十也, 金井数明, 伊藤浩, 矢部博興
    • 学会等名
      第52回 日本臨床神経生理学会学術大会(京都)
  • [学会発表] 脳脊髄同時記録機能的MRI技術を用いたヒト認知神経科学研究の新展開(シンポジウム)2022

    • 著者名/発表者名
      阿部 十也.
    • 学会等名
      第52回 日本臨床神経生理学会学術大会(京都)
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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