研究課題/領域番号 |
19H04457
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
熊谷 慎也 名城大学, 理工学部, 教授 (70333888)
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研究分担者 |
清水 鉄司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (70803881)
友田 紀一郎 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50362843)
朝日 通雄 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10397614)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 遺伝子導入 / 大気圧プラズマ / マイクロデバイス / 細胞 / プラズマオンチップ |
研究実績の概要 |
『刺激を与えて、細胞を制御する』、医工学のみならず生命科学における究極的なテーマといえる。近年、細胞に加える刺激として物質の第4の状態であるプラズマを活用し、医療・生物学に応用する研究が著しく進展している。プラズマ中には、荷電粒子・化学活性種・フォトンといった活性種が含まれている。これらの活性種に起因する効果は細胞内への物質導入に活用され、高効率な遺伝子導入等が報告されているが、メカニズムは不明な点も多い。そこで本研究では、研究代表者が開発した一つの細胞に対して直接プラズマ刺激を加えることの可能なマイクロデバイスを用いて、プラズマ中の活性種に起因する電気/化学/光作用が細胞に与える効果を明らかにする。これら三つの刺激を協調的に作用させることで、従来の手法を超える、遺伝子等の細胞内部への高効率導入技術確立を試みる。 2020年度は、以下に述べる項目について研究を進めた。【1.細胞内への物質導入の評価】2019年度に引き続き、プラズマ照射による細胞内への物質導入機序の解明に向けて、プラズマを照射したマウス線維芽細胞に蛍光色素を導入させ、プラズマ照射による物質導入促進の評価を行った。【2.マイクロデバイスの改良】細胞の特定部分にプラズマを照射するため、マイクロデバイスのプラズマ照射部に細胞が誘導されるテーパー構造を導入した。一方で、マイクロデバイスの製作プロセスを見直し、複数個のマイクロデバイスを一度に多数作製するプロセスを構築した。【3.プラズマ源の試作】マイクロデバイスと組み合わせて使用する平面型プラズマ源を試作した。【4.電気的作用が細胞に与える効果の解析】マイクロギャップ電極を試作し、電極ギャップ間で細胞を培養し、電気的作用が細胞培養に与える効果の評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞に対して直接プラズマ照射刺激を与えることが可能なマイクロデバイスの構造改良や、作製プロセスを適宜改善したことで、実験に用いるデバイスを効率よく作製することができるようになった。その結果、プラズマ照射による物質導入の効果や、プラズマ照射が細胞に与える効果の解析を進めることができた。この他、マウス線維芽細胞に加えて、マウス筋芽細胞に対するプラズマ照射の効果の検討にも着手し、ライフサイエンス研究者との共同でヒト由来培養細胞に対する実験も行ってきている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に整備した実験環境を活用し、マイクロデバイスを用い、細胞に対するプラズマの照射効果の解析を進める。研究分担者とのディスカッションをWebミーティングやメール等で効率よく行う、互いの研究機関を訪れて実験を実施する等、研究の促進を図る。
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