研究課題/領域番号 |
19H04470
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村田 正治 九州大学, 先端医療オープンイノベーションセンター, 教授 (30304744)
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研究分担者 |
大内田 研宙 九州大学, 大学病院, 講師 (20452708)
河野 喬仁 九州大学, 先端医療オープンイノベーションセンター, 特任講師 (90526831)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ナノ材料 / がん / 分子イメージング / 機能化造影剤 / MRI / 膵がん |
研究実績の概要 |
膵がんは極めて予後不良であり、その治療成績は過去20年間でほとんど改善されておらず、5年生存率は10%程度に留まっている。したがって他のがん以上に早期発見が効果的な治療を行うための重要な条件となっている。本研究では腫瘍径1cm以下の超早期膵がんを確実に描出するための画像診断システムを新たに開発する。その鍵となるのがナノカプセル型MRI機能化造影剤である。この新規造影剤には、我々独自のナノ技術によってガドリニウム錯体を配向制御することによる超高感度化技術、膵がん特異的な分子を標的化した分子イ メージング技術、そして疾患に応じてシグナルを変化させる疾患応答技術を搭載する。 微小膵がんの画像診断における困難さの要因となっているのが、腫瘤形成性膵炎等の炎症性疾患との鑑別である。そこで我々はこれら炎症性疾患に特異的に応答するナノカプセルを分子設計した。多くの炎症部位ではタンパク質複合体が形成されることが明らかとなっており、それと相関するナノカプセルを設計した。今回、X線構造解析をベースにした構造予測ソフトウエアと用いることで、より精密な分子設計が可能となった。この組換えナノカプセルを大腸菌から大量発現し、イオンクロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィによって精製した。精製したカプセル は、動的光散乱法、透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察し、直径11nmの球状構造体を形成することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに進捗しており、組換え型ナノカプセルの膵がん特異性が確認できている。最終年度までに前臨床での評価を完了できる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
実験は当初の計画通りに進行している。今後はそれまでに作成したそれぞれに特徴を有するサブユニットを複合化し、複数の機能を持ったより高機能なナノカプセル(インテリジェント型マルチモーダル造影剤)を作製する。この複合機能ナノカプセルに蛍光プローブを固定化すれば検出系のマルチモーダル化も可能である。このカプセルを用いれば鏡視下手術において、超早期膵がんをリアルタイムに可視化することができ、患者への負担を軽減しつつ、これまで以上に精密な治療が可能となる。
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