研究課題
本年度では、高速シンチレータと光半導体センサーMPPCを組み合わせて独自に開発したスペクトラルX線CT装置を用いて、小動物のマウスやラットの in vivo イメージングを実施し、造影剤の可視化を行った。ヨウ素やガドリニウムなどの造影剤を尾静脈投与し、元素特有のK吸収端前後での減弱の違いを利用し、生体内部での造影剤の濃度分布をイメージングすることに成功した。ここで、造影剤の濃度分布を定量的に把握できたことは、将来のドラッグデリバリーシステムにも応用可能な技術であることを示す極めて有用な結果である。また複数種類を混合した造影剤(ヨウ素とガドリニウム)においても、元素を区別した三次元 in vivo イメージングに成功した。複数種類の造影剤を可視化することができれば、複合した薬剤の同時可視化や、複数の造影剤の時間差投与による壊死細胞の同定ができるなど、さまざまな治療や診断に応用可能である。さらにMRI用途で肝臓診断に用いられるGdを含む薬剤(Gd-EOB)をラットに投与し、肝細胞に造影剤が有意に分布していることを検証することができた。これは、MRIを受けられないペースメーカーを持つ患者さんにとって、代替となる新たなモダリティとしてスペクトラルCTの意義を見出す大きな成果となった。またCTセンサーアレイを大面積化し、64 chから新たに256 chにまでCTアレイを拡張することに成功した。そして学際的アプローチとして新たにこの装置を利用し、原子炉の廃炉作業を強力にサポートできる超高線量環境(1~100Sv/h)でのガンマ線イメージングや、地球科学用途として岩石内部の非破壊イメージングに応用し、スペクトラルCTテクノロジーを新たな分野に応用できる可能性を見出すことができた。上記の得られた成果について、国内・国際学会および学術論文として成果を発表した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 1047 ページ: 167721~167721
10.1016/j.nima.2022.167721
巻: 1046 ページ: 167544~167544
10.1016/j.nima.2022.167544
巻: 1048 ページ: 167960~167960
10.1016/j.nima.2022.167960
巻: 1045 ページ: 167580~167580
10.1016/j.nima.2022.167580
日獨医報
巻: 66 ページ: 79-90