研究課題/領域番号 |
19H04484
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中尾 恵 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (10362526)
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研究分担者 |
松田 哲也 京都大学, 情報学研究科, 教授 (00209561)
上田 順宏 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40571005)
今井 裕一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (80347567)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 機械学習 / スパースモデリング / 手術計画 / 下顎骨再建 / 医用人工知能 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は外科医の医学知識や経験を体系化し,外科医自身の新たな洞察や知識の獲得に資する機械学習方法と情報システムの探究である.特に,日常的に得られる手術計画の事例データから客観的かつ自動的に手術プロセスを定式化するスパースモデリングの枠組みを提案し,大きく次の三つの研究目標を置いて理論構築と実証を目指している.本年度では,スパースモデリング及び機械学習の考え方に基づく患者個人の医用画像から手術計画の決定に重要となる特徴量の抽出方法を開発した.医師によって設計された232例の手術計画データを取得し,過去10年間程度の臨床論文で用いられている解剖学的名称や医学用語を用いて78の特徴量を定義した.提案手法では,従来のLasso解列挙に対して重み係数に基づく評価値を導入することで多クラス分類に拡張した.また,推定に関する貢献度の高い特徴量を特定し,優先的に選出することで探索範囲を限定したアルゴリズムへの改良を試み,計算時間の短縮を図った.これにより,手術計画に重要な特徴量を効率的に抽出し,手術計画モデルの自動生成を可能とした.下顎骨再建における腓骨片数の決定問題を対象として,低次元特徴量の抽出実験を行った.提案手法で得られる特徴量組とLasso 回帰によって得られる特徴量組の推定性能を比較して提案手法の有効性を確認した.また改良手法を用いることで,医師の手術計画を90%以上の正解率で再現する5次元特徴量を提案手法の約76%の計算時間で抽出できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本テーマにおいて重要な位置づけとなる理論の構築が進んでおり、計画書に挙げた研究課題についてそれぞれ一定の成果が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は手術計画データベースを拡充し,提案理論のさらなる検証と改良を予定している.手術計画データについては研究分担者が所属する医療機関の外科医及び歯科技工士にも協力を仰ぎ,複数医療機関に所属する複数の医師による600例程度の手術計画データの収集を目指す.
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