研究課題
【目的】心房細動患者において,心外膜脂肪の組織学的変化を詳細に解析し,臨床的な画像評価に応用できないか検討した.【方法】左心耳切除術を施行された心房細動患者連続76症例を対象とし,切除された左心耳検体を使用した.まず組織解析として,EATを中心領域のEAT (Central EAT: C-EAT) と心房筋に接する辺縁領域のEAT (Marginal EAT: M-EAT) の2領域に定義し,評価した.画像解析として,同76症例の術前CT 画像から傍心房EATにおける心房筋近位側から遠位側にかけてのCT値の変化率を算出し,組織で認められた特徴が画像に応用できるか検討した.【結果】C-EATと比較しM-EATでは炎症・線維化がより顕著に認められ,脂肪細胞の小型化が生じていた.レーザーマイクロダイセクション法によりM-EATとC-EATを切り出し,マイクロアレイ解析を行うと,M-EATではC-EATと比較し炎症・線維化に関連するmRNAの発現が亢進し,脂肪成熟に関連するmRNAの発現が減弱していた. CT 画像における検討では,傍心房EATにおける心房筋近位側から遠位側にかけてのCT値の変化率は,組織学的に検討したEATの脂肪細胞径の変化率と正の相関関係にあった(r=0.70,p<0.01).また,CT値の変化率はEATの線維化程度と正の相関関係にあり(r=0.47,p<0.01),すなわち,組織学的に認められた脂肪組織の組成変化(≒線維化リモデリング)がCT画像で検出できることが示唆された.さらには,このCT値の変化率は発作性心房細動患者と比較し持続性心房細動患者で有意に大きかった(p<0.01).【結語】EATの脂肪細胞径の変化率が,EATの線維化程度と相関関係にあり,線維化の程度を反映することが示唆された.さらに,EATの脂肪細胞径の変化率とEATの線維化程度は,CT 画像より算出した EATのCT値の変化率と相関関係にあり,CT値の変化率を使用することで,非侵襲的にEAT の線維化リモデリングを検出し心房細動の重症度を推定できる可能性が示唆された.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Heart Rhythm O2
巻: 2 ページ: 311~323
10.1016/j.hroo.2021.05.006