研究課題
本研究では、医療現場において100keV~数MeVγ線を放出する低線量放射線源を遠隔から高感度で撮影可能なコンプトンカメラ技術の開発を独自に遂行した。2022年度(4年目(最終年度))における主な実績は以下の通りである。(1)神経内分泌腫瘍をターゲットとした新しい放射線治療薬剤(Lu-177)による院内放射能汚染箇所の可視化:Lu-117から放出される低エネルギーγ線(208keV, 113keV)のイメージングに特化したコンプトンカメラの開発を遂行した。まず、Geant4モンテカルロシミュレーションによりLu-177イメージングに最適な結晶の種類・サイズ等について調査した。この結果を踏まえ、2.5cm角CaF2(Eu)結晶を6個用いた回転型コンプトンカメラ(オクタヘドロンタイプ)の製作を実際に行った。今後、病院の核医学施設での実際のLu-177汚染モニタリング測定を遂行後に原著論文を投稿予定である。(2)陽子線治療ビームのオンライン可視化を想定した基礎的検討:陽子線治療中に被写体内から治療ビームに沿ってわずかに発生する4.4MeV即発ガンマ線をコンプトンカメラ技術にて最も高感度で測定・可視化が可能な方法について、3カウンター同時計数をキーワードとした大規模モンテカルロシミュレーション実験を遂行した。その結果、3カウンター同時計数に新たなアイデアを加えることで、実際の治療中における高線量率環境下においても4.4MeVガンマ線を効率よく可視化することが可能な新たな知見を得た(特許申請準備中)。この内容は、次年度以降の新規科研費申請において原理実証試験を遂行予定である。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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