研究課題/領域番号 |
19H04493
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
平井 宗一 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70516054)
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研究分担者 |
内藤 宗和 愛知医科大学, 医学部, 教授 (10384984)
福重 香 愛知医科大学, 医学部, 助教 (30805023)
横田 紘季 愛知医科大学, 医学部, 助教 (50815876)
畑山 直之 愛知医科大学, 医学部, 講師 (80534792)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 内因性生理活性ガス / ガス送達システム / 移植 |
研究実績の概要 |
本研究は,常温・常圧で気体であり,高濃度では毒性が高い内因性生理活性ガスを移植臓器内部の標的組織に運搬する送達システムの構築が最終目的である.最初の目標は,新たなガス運搬体として,気泡径が1μm未満であり,水中安定性の特徴を有する,医療用のウルトラファインバブル (UFB)作成を確立することである.昨年度は,生体・臓器投与可能なUFB作成装置である完全閉鎖型循環式UFB作成装置の開発を行った.当初は,循環式モーターを用いて,各種ガスおよび液体を混合したものをベンチュリー構造を有する回路に循環させる試みを遂行した.申請者らが作成した完全閉鎖型循環式UFB作成装置は,一定時間以上循環させることで,UFBの数と大きさのばらつきが小さくなり,安定して作成されることが立証された.一方で,モーター内を循環させるため,滅菌などにより無菌状態に維持することが煩雑であり,実用する上で困難であるという欠点が明確になった.そこで,滅菌済みのディスポーザルの器具を使用することで,常に無菌にてUFBを作成できる装置を開発した.本装置では,ベンチュリー構造部分にガスと液体を往復させることで完全閉鎖を実現した.また,一定回数かつ一定速度以上で,ガスと液体がベンチュリー構造部分を通過することで,安定したUFBが作成できることを明らかにした.現在,本装置で作成されたUFBの特性を解析しており,内因性生理活性ガスをUFB化し,血管を介して移植臓器全体の標的組織へガスを直接送達させることへ挑戦する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画によると,昨年度に,生体・臓器投与可能なUFB作成装置,完全閉鎖型循環式UFB作成装置の作成を行うことになっている.最初計画していた,循環式のUFB発生装置にて,安定した数と大きさのUFBを作成することが可能であったが,無菌性を維持させることが困難であることが明らかとなった.そこで,滅菌済みのディスポーザルの器具を用いた装置へ変更し,試作機の完成に至った.当初予定していたデザインとは異なるが,無菌にて医療用のUFB作成することが出来る装置への道筋が出来たことから,本研究は,概ね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に完成した試作機を用いて,以下の項目に注目して,医療応用可能なUFBであることを立証する.ⅰ. 無菌である.医療応用(生体・臓器への投与)のためには,無菌であることは必要不可欠であり,培養などにより無菌性を立証する.ⅱ.気泡径が均一である.気泡径が1μm以上のmicro-bubbleは,圧壊現象を起こす特徴があり,細胞障害を引き起こす可能性がある.生体に投 与するためには,気泡径が均一化されたUFBのみが存在する溶液を作成する必要がある.そこで,大きさの制御が可能であるかどうかを検証する.ⅲ. 純度の高い気体を含む.外界に存在するガスの影響を受けず,目的の純粋なガスもしくは混合ガスによるUFBであることを検証する.さらに,培養細胞の技術を用いて以下の3つのことについて検証を行う予定である. ◇UFBの特性(ガス種,電荷,数,ばらつき,大きさなど)の違いが細胞(種類・状態)に与える効果について検証する. ◇細胞種(内皮細胞,心筋細胞,平滑筋細胞,肝細胞など)に対するUFBの効果(抗酸化,抗炎症,抗アポトーシス、血管調整)を検討する. ◇障害モデル(低酸素障害モデル,低温障害モデルにおける)におけるUFBの有効性を検討する.評価方法は、MTT assay,real time PCR,wes tern blottingを用いて障害の程度を評価する.
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