研究課題/領域番号 |
19H04497
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
橋本 卓弥 東京理科大学, 工学部機械工学科, 講師 (60548163)
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研究分担者 |
藤倉 輝道 日本医科大学, 医学部, 教授 (00238552)
樫村 正美 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00550550)
大久保 公裕 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (10213654)
伊藤 保彦 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (40203179)
早坂 明哲 日本医科大学, 医学部, 助教 (50516094)
竹下 俊行 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (60188175)
竹村 裕 東京理科大学, 理工学部機械工学科, 教授 (60408713)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 患者ロボット / 医療面接 / 医学教育 / アンドロイド・ロボット |
研究実績の概要 |
2019年度に開発したアンドロイド型模擬患者ロボット(以下,アンドロイドSP)のプラットフォームを応用し,医療面接演習システムの開発を行った.そのために,まず,音声認識/音声合成技術を導入し,面接者(医師)の質問に対して自律的に応答できるようにした.この際,医療面接というものの性質上,面接者からの質問に患者が答えるという会話の流れが多くなると考え,面接者の発話が質問かどうかを判定し,質問の場合は,文中のキーワードを基にアンドロイドSPの回答を生成できるようにした.発話文が質問かどうかを判定するに当たっては,まず,予備実験で収録した面接者(医師)の発話を形態素解析し,質問文に含まれやすい単語を分析した.そして,その結果を基に発話文の質問スコア(質問文らしさ)を算出できるようにした. 2019年度に実施した面接者の頷き動作の解析では,相槌としての頷きだけでなく,発話中に見られる“話しての頷き”も検出されてしまう場合があった.そこで,面接者の発話音量も取得し,発話区間での頷き動作をカウントから除外するようにし工夫した.そして,実際の医療面接を想定した面接ロールプレイ実験を行い,構築した音声対話システムと頷きの解析方法について評価実験を行った.その結果,以下の2点を明らかにした. ①質問スコアを用いることにより,面接者の発話を質問と質問以外(挨拶,確認・反復)とに概ねよく分類できることが分かった. ②カメラ映像を基に面接者の頷き動作を解析する際,発話音量によるマスク処理を施すことにより,相槌としての頷き動作をより正確に抽出することができた.一方,抽出精度には個人差があり,あまり改善が見られない場合もあった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通り,音声認識/音声合成技術を導入し,質問スコアを求めることにより,面接者の質問に対してアンドロイドSPが自律的に応答できるようにした.また,非言語解析においても,発話区間を認識することにより,相槌としての頷きを検出できるようにした.一方,人によっては頷きの検出精度が低くなる場合があり,改善の余地が見られた.また,被験者を用いた面接ロールプレイを実施する機会が限られてしまい,解析した非言語動作とOSCE評価との関連性までは調査することができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の実施状況を鑑み,2021年度では以下の3点について重点的に研究を進める. ①音声対話システムの改良として,医療面接における質問文の特徴をより詳細に分析する.そして,似た特徴の文を同一の質問文として処理できるようにし,言い換え表現にも対応できるようにする. ②頷きの運動をより詳細に解析し,頷きの検出精度を向上させる. ③複数人の被験者を用いた面接ロールプレイ実験を実施し,解析した非言語動作とOSCE評価との関連性を調査する.
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