研究課題
本研究では,ヒト姿勢安定化システムの安定性能評価手法を提案することで,最終的には力学的歩行アシスト装置における安全性評価手法,および転倒リスクの定量評価手法を確立することを目指した.これまでの本研究では,姿勢変動から転倒せず回復する能力の基礎となる立位安定性に対する評価手法を検討した.これは下肢への力学外乱印加時の姿勢応答入出力データに基づいて,入出力力学モデルである伝達関数を線形同定することで実験的に求め,この伝達関数の安定性を表す極を数値的に評価することで,信頼性の高い姿勢安定性指標を得るものであった.一方で,転倒に関するリスク評価だけでなく,姿勢安定化要因を筋骨格系における姿勢安定化性能,特に姿勢を安定化させる個別の筋の役割を明確にすることで,リスクの明確化とともにその対応策を示す可能性がある.従って本年度(2021年度)は転倒に至る可能性がある力学外乱がヒト下肢に加えられた時の姿勢回復能力,およびその姿勢回復を実現する筋骨格系とその作動メカニズム,およびこれまでの姿勢安定性定量評価との関係を調べた.その結果,姿勢を安定化する戦略は被験者により多少異なり,これにより安定化に寄与する主要筋も異なる場合があること,姿勢安定性定量評価値と姿勢安定化に寄与する主要筋の筋活動とは密接な関係があることがわかった.これにより,姿勢安定化性能や転倒リスクを評価する場合は,個々の転倒回避戦略を考慮したうえでの複数指標により総合的に評価すべきであることが明らかとなった.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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