本研究では転倒リスク評価のため,力学外乱による姿勢変動から転倒せず回復する能力の基礎となる,ヒト姿勢安定化性能に対する評価手法を確立した.これは下肢への力学外乱印加時の姿勢応答入出力データに基づいて,入出力伝達関数を線形同定することで実験的に求め,この伝達関数の安定性を表す極を数値的に評価することで,信頼性の高い姿勢安定性指標を得るものである.さらに本研究では,姿勢変動時の筋活動測定により,姿勢を安定化する戦略は被験者により異なり,これにより安定化に寄与する主要筋も異なる場合があること,姿勢安定性定量評価値と姿勢安定化に寄与する主要筋の筋活動とは密接な関係があることがわかった.
|