研究課題/領域番号 |
19H04504
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
井上 薫 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (90259143)
|
研究分担者 |
柴田 崇徳 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (30357199)
河野 光伸 金城大学, 医療健康学部, 教授 (70269512)
繁田 雅弘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90206079)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 認知症ケア / ロボット |
研究実績の概要 |
産総研が開発したアザラシの赤ちゃん型ロボット「パロ」を活用したセラピーは、先進国をはじめとして多くの国で認知症の人の不穏や焦燥などの周辺症状を和らげる効果があることが報告されている。多くのエンターテイメントロボットが市場に出てきているが、認知症の人の心によい影響がある効果がエビデンスレベルの高い研究デザインにより実証されているロボットは申請時でパロのみであることから、パロを研究対象としている。 これらは、RCTデザインによる報告であるため、明確なアウトカムを使用して科学的に実証された「効果」ではあるが、出口だけが明らかになっている状況で、その効果の背景因子やその機序には不明確な点が残されている。また、ケアの提供場所やケアの方法は国や文化の影響を受けることが予想され、海外の報告を参考とすることはできるが、日本は日本固有のケアの場での調査が必要とされている。 本研究では、日本の高齢者施設において日常的にパロを使用した施設職員がパロの効果をどのように認識しているか、その効果に影響を与えている要因はどのようなものであるのかを検討し、パロの有効活用の手法の確立に役立て、新しいロボットの開発の基礎資料としたいと考えている。 本年度は、COVID-19感染症予防のために当初の予定を変更し、文献調査によるパロの効果の定義を再検討し、研究協力施設に対する予備調査を実施した。感染症予防の視点から研究者が施設内に入る許可が下りなかったため、施設職員に対して遠隔で感染症管理の状況や使用可能なタイミングを聴取した。また、パロの毛皮は制菌加工がなされているため、正しく清拭を行うことで安全な使用が可能であることなどを説明し、調査の実現性に必要な条件を整理し、調査の計画の見直しを行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19の感染予防のため、研究者が協力施設内に入れず、認知症の高齢者の状態を直接的に得ることが困難であった。そのため、文献調査および予備的な調査を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
COVID-19の感染状況にもよるが、来年度は感染症対策に配慮し、現場での調査を開始する予定である。
|