研究課題/領域番号 |
19H04506
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研究機関 | 熊本高等専門学校 |
研究代表者 |
卜 楠 熊本高等専門学校, 電子情報システム工学系AEグループ, 准教授 (80425743)
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研究分担者 |
福田 修 佐賀大学, 理工学部, 教授 (20357891)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 医療福祉 / ストレス評価・解析 / 心拍変動解析 / 健康モニタリング / 深層学習 |
研究実績の概要 |
本研究は、超短時間心拍変動データの解析による短時間ストレス評価手法を提案し、深層ニューラルネットを用いたマルチタイムスケール解析技術への展開を目標とする。2019年度の研究助成で下記の成果を得ることができた。 1、超短時間心拍変動解析に適した解析指標を10数秒から40秒程度のデータへ応用し、ストレス印加直後の生体ストレス応答を調べた。特ににPoincare Plot解析手法の非線形特性を適用した指標で、ストレス応答の時間変化を検証し提案解析指標の有効性を確認した。スポーツ競技時の心拍変動データへ応用など検証も行った。 2、短時間変化を有するストレス負荷実験環境を構築した。これまでストレス実験で利用されたことのないバーチャル現実(VR)環境での心拍変動実験を実施し、VRコンテンツによる視覚刺激に対する短時ストレス応答を確認した。また、自動運転などへの応用を見据えて、電動車椅子運転にストレス誘発要因を追加し、ストレス実験環境の開発を始めた。一本橋コースやクランクコース走行によるストレス誘発実験の検証を行い、車椅子の運転状況設定や操縦方法などによるストレス要素の存在を実験で確認した。 3.深層ニューラルネットワークを用いた心拍変動識別方法を開発した。Poincare Plot解析で得られた心拍変動データ分布図を直接畳み込みネットワーク(CNN)に入力、心拍変動の特性画像を識別する斬新なアプローチでストレスと安静時データの識別に成功した。使用した解析データ長は60秒以内のもので、短時間特性を捉えることにつながる重要な研究成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の遂行に不可欠となる心拍データ測定において、生体の行動範囲を低拘束で生体信号を計測できるテレメータ計測装置が重要である。研究提案時、日本光電工業社のマルチテレメータシステムに心電図、呼吸の計測ユニットを追加すると計画した。しかしながら、2019年4月に同社がテレメータシステム関連部品の製造・販売中止を発表した、ストレス負荷実験の生体計測環境構築はやむを得ず一旦中断し、予算範囲内で代替テレメータ計測機器を再選定したりすることで計画案を大幅に見直した。これにより、研究実施に重要な機材の不足が原因で、本研究課題の進捗状況は2018年度の計画立案より遅れた。また、研究実施内容の一部は2020年度に延長し、ほぼ実施計画の内容を完了した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究活動は基本的に提案時の計画内容に沿って、研究内容を進める予定である。一方で、2020年新型コロナウイルス感染拡大により、研究代表者の所属研究機関では教育・研究活動が全面的に遅れることがある。中でも、特に教育現場で生体計測実験の実施がこれまでより困難な局面に強いられている。検証実験の実施内容変更など、2020年度の実施内容でこれまで未完成の部分について早急に完成し2021年度の計画内容に移る。
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