研究課題/領域番号 |
19H05590
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野澤 祥子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (10749302)
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研究分担者 |
秋田 喜代美 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (00242107)
遠藤 利彦 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (90242106)
村上 祐介 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (00423434)
山崎 俊彦 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (70376599)
淀川 裕美 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任准教授 (60773158)
高橋 翠 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任助教 (60816867)
佐々木 織恵 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任助教 (70825075)
天野 美和子 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任助教 (60817352)
関 智弘 熊本県立大学, 総合管理学部, 講師 (60796192)
佐川 早季子 奈良教育大学, 学校教育講座, 准教授 (90772327)
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研究期間 (年度) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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キーワード | 保育の質 / 自治体の取組み / 0歳児 / コロナ禍の影響 / 研修アプリ |
研究実績の概要 |
本研究では、以下のことを目的とする。第一に保育の質を多面的に評価し、その実態を把握するとともに、保育の質が子どもの発達に影響する過程を縦断研究により詳細に検討する(園調査)。第二に、保育の質の保障・向上に向けた自治体の取り組みの実態を調査する(自治体調査)。第三に、上記の調査結果に基づき、自治体と園の効果的な取り組みのあり方を構想し、実装する(取り組みの構想・実装)。研究実績は以下である。 園調査では、Covid-19の感染拡大の影響により、2019年度に0歳児を対象として実施する予定だった調査が十分に実施できなかったことから、2020年度に0歳児を対象とした調査を内容も変更して実施した。2021年度は縦断調査として1歳児を対象とした調査を実施した。質問紙調査によって、構造の質、プロセスの質、実施・運営の質および子どもの発達について尋ねるとともに、保育室に環境センサーを設置し、室内の居住環境を調査した。また、保育の質を検討する上で、Covid-19の感染拡大の影響を無視することはできないと判断し、Covid-19の感染拡大の影響に関する調査を実施し、影響の実態を明らかにした。 自治体調査では、2019年度に予備調査として、保育の質の保障・向上に向けた取り組みに関するヒアリング調査を実施し、2020年度に全国の基礎自治体を対象とした質問紙調査を実施した。11月に全国1741基礎自治体に送付し、705件の回答(回収率40.5%)を得た。現在、分析を進めているところである。 取り組みの構想・実装に関しては、保育者自身が保育を振り返る研修ツールについて、アプリ化(保育振り返りアプリ”HoiQ”)を進めてきている。2019年度~2021年度に試行的な研修を行い、アプリの内容の改善と研修方法の検討を行った。アプリは2022年度中に完成予定であり、実装に向けた準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
園調査では、2019年度に0歳児クラスを対象とした調査を実施する予定だったが、Covid-19の感染拡大の影響で、一部の調査しか実施することができなかった。その後も、感染拡大の影響は続いているが、2020年度以降は訪問観察調査を質問紙調査やヒアリング調査で代替することで、調査を継続することとする。2019年度に十分な内容を調査できなかったため、2020年度も0歳児を対象とする。そのことによって、2019年度の0歳児と2020年度の0歳児について、2019年度に実施できた一部の調査については比較分析することも可能となる。また、当初の計画にはなかったが、保育の質を検討する上で、Covid-19の感染拡大の影響を無視することができないと考えられるため、2020年度以降、Covid-19の感染拡大の保育への影響についても検討を行う。未曽有の事態における園の対応や、保育のさまざまな面への影響の実態について調査分析を行い、一定の成果を得られると考える。 自治体調査では、Covid-19の感染拡大の影響のため、2019年度のヒアリング調査はオンラインや電話等で実施した。その内容を基に、2020年度に全国の基礎自治体を対象とした質問紙調査を実施した。 取り組みの構想・実装に関しては、保育振り返りアプリの実装に向けた準備を進める。Covid-19の影響がある中でも、園に訪問できる場合は訪問し、感染拡大のために訪問が難しい状況ではオンラインも活用しながら、研修の試行を進める。
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今後の研究の推進方策 |
園調査では、協力園の尽力によって得られたデータについて、詳細かつ精緻に分析する。保育のニーズが急速に拡大する0歳児、1歳児の保育のあり方を検討することは、喫緊の課題であり、本調査がそのための貴重な資料を提供できると考える。また、縦断調査として2022年度に2歳児クラス、2023年度に3歳児クラスを対象とした調査を実施する。2021年度までは、Covid-19の感染拡大の影響で訪問観察調査が実施できていないが、2022年度以降は、感染状況をみながら、可能な範囲で訪問観察調査を実施できるよう準備を進める。また、訪問観察調査が実施できない場合でも、ヒアリング調査や動画の活用など、代替案の検討を進める。一方、Covid-19の感染拡大の影響に関する調査に関しても、継続して実施し、Covid-19の感染拡大が保育の質にもたらした影響について詳細に検討する。 自治体調査では、2020年度に実施した質問紙調査の分析をさらに進めるとともに、Covid-19の感染拡大に自治体がどのように対応したかについての調査を計画・実施する。Covid-19の感染拡大は、各園の保育のみならず、保育行政においても多大な影響をもたらしたと考えられる。園を対象とした調査からは、園と自治体との連絡・調整における課題も示されている。Covid-19感染拡大に対する自治体の対応の実態を調査し、把握することは、今後の保育行政のあり方を検討する上での重要なことだと考える。 取り組みの構想・実装に関しては、これまでの調査の成果に基づいて、保育の質の保障・向上についての園や自治体の取り組みについて整理し、そのあり方を構想する。また、2022年度前半に完成予定の保育振り返りアプリ”HoiQ”を活用した研修の実装を進める。
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