研究課題/領域番号 |
19H05593
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宮本 一夫 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (60174207)
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研究分担者 |
岡崎 健治 鳥取大学, 医学部, 助教 (10632937)
米元 史織 九州大学, 総合研究博物館, 助教 (40757605)
小畑 弘己 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (80274679)
上條 信彦 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (90534040)
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研究期間 (年度) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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キーワード | モンゴル新石器時代 / モンゴル青銅器時代 / 古人骨 / 山東半島 / 稲作農耕 / 土器圧痕分析 / デンプン分析 / ストロンチウム分析 |
研究実績の概要 |
2019年8月1日から学術研究員松本圭太を採用し、本科研費のホームページを立ち上げた。 8月10日~8月23日に、モンゴル国ザブハン県アブダライ遺跡の発掘調査を行った。九州大学から宮本・松本以下4名が参加し、モンゴル考古学研究所と共同で、方形敷石墓2基を発掘し、良好な遺存状態の古人骨1体を検出した。15号方形敷石墓の古人骨の年代は紀元前19~18世紀と、これまで調査したヘレクスールよりも古い青銅器時代初期の墓制であることが明らかとなった。8月26日~28日には、モンゴル考古学研究所にて、出土青銅器などの遺物整理を行うとともに、上條がモンゴル新石器時代出土の磨盤・磨棒の使用痕分析・デンプン分析を行った。その結果、モンゴル高原南部まで紀元前4千年紀には穀物農耕が伝播していることが判明した。また、9月19日~25日には岡崎と米元が、モンゴル考古学研究所にてモンゴル青銅器時代古人骨の形質人類学的分析と筋付着部発達度分析を行った。 9月18日~20日に宮本が山東大学歴史研究院欒豊実教授と共同研究の協議を行い、科研期間の5年間の発掘調査を含めた共同研究が可能になった。10月27日~11月1日まで、山東省煙台市博物館にて、山東大学歴史文化研究院と共同で、大仲家遺跡の土器圧痕分析を小畑が、石器の使用痕分析を上條が、土器の製作技術の分析を協力研究者の三阪一徳が、石器の実測を宮本・松本が行った。この結果、これまでの知見よりさらに古い段階の紀元前4000年頃には、山東半島東端の煙台地域までイネが伝播しているという新発見を得るに至った。また、楊家圏遺跡での水田探査のための発掘を次年度に実施するにあたっての打ち合わせを現地で宮本と欒豊実が行った。 第21回北アジア調査研究報告会を2020年2月15・16日に九州大学で開催し、本科研の研究成果の発表を、宮本、上條、岡崎、米元、松本がそれぞれ行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度のモンゴルでの調査は、もともとの計画ではジェネラルサーベイであったが、次年度の調査対象として計画していたモンゴル青銅器時代初期の方形敷石墓を発掘できたとともに、良好な古人骨を得ることができた。また、山東での調査により、これまで紀元前2500年頃に山東東端の煙台地域にイネが伝播すると考えられていたのが、土器圧痕分析により紀元前4000年頃に既にイネが煙台地域まで伝播するという新発見を得ることができた。また、次年度から楊家圏遺跡での水田探査のための発掘調査の計画が中国側で承認され、次年度からの研究計画が順調に進むことが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
モンゴルでのアブダライ遺跡の発掘調査、中国での楊家圏遺跡の発掘調査を行う予定であるが、新型コロナウイスルの世界的な拡散の為、2020年度の海外調査は難しい可能性がある。そのため、九州大学所蔵の宇木汲田遺跡の再整理調査を行い、東北アジア初期農耕第5段階の農耕の拡散過程を明らかにし、その整理調査報告書を出版する。また、本プロジェクトで得られた分析結果や成果を論文として公表していく。
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