Tiは無尽蔵の埋蔵量を有し、その合金は優れた特性を有することから将来有望な金属材料である。しかし、Ti製品製造には非効率なプロセスを要し、また工程中に酸素に汚染された多量のスクラップが発生することから、Ti製品の価格は高く、広く一般には普及していない。そこで本研究では、Ti スクラップ中の酸素を直接除去する新技術を開発し、高純度のインゴットに再生する “アップグレード・リサイクル”を可能にする革新的なリサイクル技術の開発を目指した。 希土類金属を脱酸剤として用い、希土類オキシクロライドの生成反応を利用することで、極低酸素濃度のチタンを製造できることを明らかにした。加えて、脱酸能力が低いマグネシウムを脱酸剤として用いた場合も、希土類オキシクロライドの生成反応の利用により、チタン中の酸素を 500 mass ppm以下まで除去できることを実証した。また、以上の手法を、酸化チタンの直接還元による金属チタン製造プロセスやチタンの焼結プロセスへと応用できる可能性を示した。さらに、蒸気圧の高い希土類金属を、気相を介してチタンに供給して脱酸する新しいプロセスを提案・実証した。並行して、脱酸反応で生成する希土類オキシクロライドから希土類塩化物を再生するプロセスについても検証を行い実証した。また、研究提案時には予見していなかったが、溶融Tiから直接酸素を極低濃度まで除去する革新的技術を開発した。 これらの技術はいずれも将来的にはチタン製品の価格低減につながると期待される。
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