研究実績の概要 |
本研究では、理論・実験両面から貴金属の性能を凌駕する一連の新奇ナノ粒子群を創製する。すなわち、①低周期dブロック金属ナノ粒子へのpブロック元素の導入やガルバニック置換による合金化により電子構造を大きく変調し、貴金属ナノ粒子がもつ物性・触媒特性を圧倒的に凌駕する新金属相ナノ粒子群を創製する。さらに、②低周期dブロック金属からなる半導体ナノ粒子のイオン交換により、結晶構造・電子構造を部分的に変調し、貴金属ナノ粒子では困難な全近赤外光エネルギー変換ヘテロ構造ナノ粒子群を創製する。 貴金属の合金化の新奇手法として、Z3-Fe(Pd,In)3ナノ粒子の発見・合成をさらに発展させ、微量金属元素置換により三元素間相溶性の差異を誘起した新たなPt-Ir-Fe合金ナノ粒子の構造制御を行った。その結果、L12とL10の中間のような新規合金相が生成することを見出した。 一方、原子層の厚みを有するCdSeナノプレートのCd2+とPt2+とのカチオン交換により、Pt2+を単原子でCdSeナノシート内外に導入することに成功した。非プロトン性溶媒中cis-[PtCl2(SO(CH3)2)2]をPt2+前駆体として用いると、Pt2+を単原子でCdSeナノシート外に導入することができ、一方、プロトン性溶媒中[PtCl4]2-をPt2+前駆体として用いアミン処理すると、60%のPt2+を単原子でCdSeナノシート外に導入することができた。CdSeナノプレート外にPt2+を導入した単原子触媒では、100時間水素生成反応が触媒活性の低下がないことを明らかにしており、水素生成触媒としてのポテンシャルの高さを実証した。 さらに、Au(I)-チオラート錯体の挿入によるチオラート保護Au18クラスターの異性体選択的変換反応や、ポルフィリン保護Auクラスターにおける中心金属置換による光誘起電子移動方向制御に成功した。
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