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2023 年度 実績報告書

植物細胞の脂質分泌の鍵をにぎるバルク輸送マシナリーの分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 19H05638
研究機関京都大学

研究代表者

矢崎 一史  京都大学, 生存圏研究所, 教授 (00191099)

研究分担者 粟野 達也  京都大学, 農学研究科, 助教 (40324660)
研究期間 (年度) 2019-06-26 – 2024-03-31
キーワード植物細胞 / 脂質分泌 / バルク輸送 / ABCトランスポータ / 膜ダイナミクス / シコニン
研究実績の概要

植物は組織の種類や細胞タイプごとに、種々の脂溶性分子を細胞外に分泌する。低分子の例では、赤色色素のシコニン、抗癌剤のパクリタキセル、芳香成分のモノテルペンなどが、一方高分子ではワックス、クチン、スベリンといった脂溶性ポリマーが代表である。これらはそれぞれ、植物の生育や生体防御機構において重要な役割を果たしている。こうした代謝産物は、特異的な細胞で生合成された後、細胞外に輸送分泌され細胞外スペース(アポプラスト)に蓄積するが、本研究ではそのプロセスを解析対象とした。モデルに使用したのはシコニンを生産する実用植物のムラサキである。
令和5年度は、ムラサキから単離した脂質分泌候補因子の輸送機能を特定するため、タバコ (Nicotiana tabacum) への導入を行った。8つの候補遺伝子を過剰発現するタバコ形質転換体をそれぞれ作製し、葉表層に分泌された脂質と葉組織内部に蓄積された脂質を個別に抽出した。GC-MS解析の結果、2つの分泌輸送遺伝子の過剰発現により、ニコチンの細胞外蓄積量が増加する傾向が認められた。本成果に関しては定量値の精度を上げて論文化の準備を進めている。一方、脂溶性化合物の分泌輸送に関わる候補遺伝子の中に見出したトランスポーターに関して、2つのABCタンパク質 (LeABCG1とLeABCG2) を単離した。両遺伝子のcDNA配列及びゲノムDNA配列を解読した後、GFP融合タンパク質を用いた局在解析を行ったところ、共に細胞膜に分布することがわかった。本成果に関しては現在論文リバイズ中である。また令和5年度は、実用植物ムラサキにおいてゲノム編集技術を確立し、有用性を評価できるモデル遺伝子を用いてその方法論を論文化した。さらに、LeDI2 の機能解析に関しては、発現誘導性ベクターpOpOff2を利用し、本分泌性タンパク質がシコニンの分泌過程に関わることを明らかにした。

現在までの達成度 (段落)

令和5年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和5年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] Peroxisomal 4-coumaroyl-CoA ligases participate in shikonin production in <i>Lithospermum erythrorhizon</i>2024

    • 著者名/発表者名
      Nakanishi Kohei、Li Hao、Ichino Takuji、Tatsumi Kanade、Osakabe Keishi、Watanabe Bunta、Shimomura Koichiro、Yazaki Kazufumi
    • 雑誌名

      Plant Physiology

      巻: in press ページ: -

    • DOI

      10.1093/plphys/kiae157

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comparative Analysis of Shikonin and Alkannin Acyltransferases Reveals Their Functional Conservation in Boraginaceae2023

    • 著者名/発表者名
      Oshikiri Haruka、Li Hao、Manabe Misaki、Yamamoto Hirobumi、Yazaki Kazufumi、Takanashi Kojiro
    • 雑誌名

      Plant And Cell Physiology

      巻: 65 ページ: 362~371

    • DOI

      10.1093/pcp/pcad158

    • 査読あり
  • [学会発表] ムラサキのシコニン生産と同調して発現するポリフェノールオキシダーゼの機能解析2024

    • 著者名/発表者名
      中西浩平、高野祐希、山本恭子、佐々木佳菜子、小原一朗、市野琢爾、巽 奏、李 豪、棟方涼介、山本浩文、刑部敬史、下村講一郎、杉山暁史、高梨功次郎、矢崎一史
    • 学会等名
      第65回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] ムラサキ科植物のシコニン・アルカニン誘導体生合成に関与するアシル基転移酵素の比較解析2024

    • 著者名/発表者名
      押切春佳、李 豪、眞辺美咲、山本浩文、矢崎一史、高梨功次郎
    • 学会等名
      第65回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] ムラサキ培養細胞から分泌されるシコニン含有顆粒はアラビノガラクタンタンパク質に覆われペクチンマトリックスに包埋されている2024

    • 著者名/発表者名
      松岡 健、市野琢爾、中西浩平、矢崎一史
    • 学会等名
      第65回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] ムラサキ毛状根における脂質分泌膜系の透過電子顕微鏡観察2024

    • 著者名/発表者名
      清都晋吾、粟野達也、市野 琢爾、矢﨑一史
    • 学会等名
      第74 回日本木材学会
  • [学会発表] イチゴのテルペン系香気成分の分泌を担う候補遺伝子の解析2024

    • 著者名/発表者名
      後藤桃佳、段 奈々子、上岡颯人、李 豪、橘 頼之、市野琢爾、杉山暁史、棟方涼介、矢﨑一史
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2024年度大会(東京)
  • [学会発表] 二次代謝のモデル植物ムラサキのABCタンパク質の解析2023

    • 著者名/発表者名
      近藤菜友、坪山 愛、市野琢爾、李 豪、巽 奏、松田陽菜子、刑部敬史、下村講一郎、棟方 涼介、杉山 暁史、矢崎 一史
    • 学会等名
      第40回植物バイオテクノロジー学会(千葉)大会
  • [学会発表] ムラサキのシコニン生合成中間体を基質とするshort-chain dehydrogenase/ reductaseの機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      松田悠希、吉岡奈津子、渡辺文太、市野 琢爾、山本 浩文、矢崎一史、高梨功次郎
    • 学会等名
      第40回植物バイオテクノロジー学会(千葉)大会
  • [学会発表] シコニン・アルカニン誘導体生合成に関わるアシル基転移酵素の機能比較2023

    • 著者名/発表者名
      押切春佳、李 豪、山本浩文、矢崎一史、高梨功次郎
    • 学会等名
      第40回植物バイオテクノロジー学会(千葉)大会

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公開日: 2024-12-25  

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