研究課題/領域番号 |
19H05652
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
齊藤 和季 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, センター長 (00146705)
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研究分担者 |
中林 亮 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (30586160)
東 泰弘 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (90634577) [辞退]
榊原 圭子 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (20360555)
山崎 真巳 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (70222370)
Rai Amit 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (60760535)
吉本 尚子 千葉大学, 大学院薬学研究院, 講師 (10415333)
高上馬 希重 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (80342781)
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研究期間 (年度) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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キーワード | 薬用植物 / ゲノム / トランスクリプトーム / メタボローム / 甘草 |
研究実績の概要 |
本研究は、主に国内産として保全される重要薬用資源植物を中心に、今後医薬学や医療分野において重要性が増加する薬用資源植物の統合ゲノム科学を推進することを目的とする。特に、漢方処方において最も使用頻度の高い最重要生薬である「甘草」とその他の重要な薬用植物について薬用成分の生産に関する統合ゲノム科学を推進し、薬用資源植物の化学的多様性のゲノム起源解明に資する。 すでにドラフトゲノム配列を発表した1系統(品種)も含め、4系統のウラル甘草(東北甘草)について高品質ゲノム配列のアッセンブリまで完了した。これらの高度に連結したゲノムアッセンブリは、単一DNA分子を鋳型とする第三世代のシークエンス法に加え、最新鋭のナノテクノロジーをHi-C法なども取り入れて、本研究で確立した複数プラットフォームを組み合わせた新たな手法によるものである。スペイン甘草(西北甘草)、新疆甘草についてもそれぞれ一系統(品種)ずつについて、上記のアッセンブリ手法で高品質のゲノム配列を決定した。 上記の高精度ゲノムアッセンブリに用いた手法を敷衍して、同じマメ科植物の重要生薬「苦参」の基原植物であるクララについて、97% をカバーするゲノム配列を決定できた。さらに、甘草と同様にサポニンを薬効成分とするサンシュユ(山茱萸)についても、トランスクリプトームとメタボローム解析を行い、それらの共起性ネットワーク解析などによって、成分生産に関する候補遺伝子を同定した。 また、高性能質量分析計を用い薬用植物等からの広範な代謝産物情報を収集し、ピークアノターションのためのデータベース化を進めた。また、薬用植物等における二次代謝成分の生合成遺伝子と酵素の機能を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数種のウラル甘草、スペイン甘草、新疆甘草およびクララ等のゲノムデータ取得とアッセンブリがほぼ予定通りに進展した。サンシュユ(山茱萸)について、トランスクリプトーム、メタボローム解析を行い、それらの共起性ネットワーク解析などによって、成分生産に関する候補遺伝子を同定できた。また、メタボロームのアノテーションデータベース化を進めた。さらに、薬用成分等の生合成に関与するいくつかの遺伝子と酵素を同定できた。 これらの成果を複数の論文および学会発表として公表した。
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今後の研究の推進方策 |
ウラル甘草のグルチルリチン含量の異なる複数系統(品種)の高品質ゲノム配列アッセンブリを精査し、同時に複数組織からのトランスクリプトームと統合して系統(品種)間のゲノムワイド変異情報を解析する。トランスクリプトーム解析した植物組織と同一組織のメタボローム解析を統合し、ウラル甘草についての統合ゲノム解析を完了し論文にまとめる。また、DNAメチル化レベルの解析である全ゲノムバイサルファイトシークエンス高次解析を行い、エピゲノムによるグリチルリチンなどの主要成分生産の制御について知見を得る。スペイン甘草および新疆甘草についてトランスクリプトームおよびメタボロームデータを併せて、ウラル甘草のゲノム等と比較解析を行う。 部位別のメタボロームデータも統合して遺伝子・代謝成分の共起性ネットワーク解析の精度を高め、成分生産に関わる新規遺伝子を同定する。ゲノムワイドアソシエーション解析については、グリチルリチンを含有するウラル甘草(複数系統)、スペイン甘草、新疆甘草、およびグリチルリチンを含まない種についての高品質ゲノム配列を成分蓄積のデータと統合して、成分生産と相関する遺伝子変異やゲノム領域を同定する。 重要薬用資源植物において、すでに候補として挙げられている薬効成分の生産に関わる遺伝子の機能を、ゲノム編集や合成生物学的な手法によって同定すると同時にその高生産にも応用する。特に、抗癌成分カンプトテシン生産に関するゲノム領域を決定するために、同成分を多く含む植物種と含まない種のゲノム配列も解析し、比較ゲノム学を進める。また、それ以外の重要薬用資源植物についてもトランスクリプトームとメタボローム解析が終了した植物種については、ゲノム配列解析を見据えた統合オミクス解析を進める。
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