研究課題
ニューロペプチドYプロモーター制御神経サブセット(AAV-NpyP+神経)の活動低下のメカニズムとして,アストロサイトの役割を検討した。脊髄後角の同細胞特異的にドミナントネガティブSTAT3を発現させ,神経損傷によるアストロサイトの活性化を抑制した結果,Aβ線維由来アロディニアが抑制され,AAV-NpyP+神経で低下した静止膜電位が正常化した。さらに,アストロサイトからAAV-NpyP+神経へのシグナル分子としてマトリックスメタロプロテアーゼ2(MMP2)を同定した。以上より,神経障害後のAAV-NpyP+神経機能不全にアストロサイトが必須であることが明らかとなった。神経障害性アロディニアの発症に必要な興奮性介在神経としてCnr1プロモーター制御神経(AAV-Cnr1P+神経)を同定した。AAV-Cnr1P+神経は脊髄後角第I層と深層に存在し,Aβ線維からの興奮入力(主に多シナプス性)を受けていた。さらに,同神経の機能をhM4Diにて低下させたところ,神経障害性アロディニアが抑制された。神経障害後にAAV-NpyP+神経の機能低下がアロディニアに直結するという知見を踏まえ,その機能を賦活するメカニズムが創薬ターゲットとなりえると考えた。前年度の結果より,ノルアドレナリン(NA)がAAV-NpyP+神経を活性化することを示したが,NAはアストロサイトも活性化して痛みを増強することを見いだした。そこで,アストロサイトでのNA作用を選択的に抑えることで,NAによるAAV-NpyP+神経機能の賦活作用およびそれによる鎮痛作用を高めることが可能であると考え,アストロサイトでのNA作用を阻害する化合物のスクリーニングを実施した。その結果,約5000化合物の中から複数の既存薬を同定することに成功した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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