研究課題
今年度の成果は、「semi-LC対」に関する良い双有理変型の存在と、「一般化されたLC対」に関するいくつかの双有理不変量の有界性についての結果である。現代の極小モデル理論はLC対(対数的標準対)の枠組みで議論できる。だが、現代の双有理幾何学の研究では、LC対よりも広い枠組みが必要になる。LC対の一般化として、「semi-LC対」と「一般化されたLC対」の枠組みがある。一般的に、これらの枠組みでは、極小モデル理論を完全に議論することはできないが、LC対で知られているいくつかの双有理幾何学の結果は「semi-LC対」や「一般化されたLC対」にも拡張できることが知られている。1つ目のsemi-LC対についてはLC対に対する「クレパントDLTモデル」と呼ばれる双有理変型をsemi-LC対に拡張した。LC対のさまざまな問題は、クレパントDLTモデルを通してDLT対という扱いやすいクラスの問題に帰着できる。クレパントDLTモデルの双有理変型をsemi-LC対に拡張したことで、semi-LC対の種々の問題を、DLT対のクラスに対応する「semi-DLT対」に帰着させて解くことができるようになると期待できる。2つ目の結果は「一般化されたLC対」における極小モデル理論およびいくつかの双有理不変量の有界性を示したものである。「一般化されたLC対」もLC対の一般化の概念であり、近年盛んに研究されている結果である。今年度の結果により、LC-自明ファイブレーションと呼ばれる特殊な写像で良い条件を持つLC対に対し、極小モデル理論や有効的非消滅予想、飯高ファイブレーションの有効性にも応用が存在する。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Proceedings of the Japan Academy, Series A, Mathematical Sciences
巻: 98 ページ: 13-18
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Epijournal de Geometrie Algebrique
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10.46298/epiga.2021.7626