1.二次元Filtered-Euler方程式の特異渦を初期渦度とする弱解について、正則化パラメータ極限での二次元Euler方程式の弱解への収束に関する研究を行った。結果として、Filtered-Euler方程式の渦層解が正則化パラメータ極限でEuler方程式の渦層解に収束することを証明した。さらに収束が成り立つためにFiltered-Euler方程式に現れる正則化関数が満たすべき条件も明らかにし、具体的な正則化モデルであるEuler-α方程式やVortex blob型正則化モデルに対しても成立することを示した。この成果によって、二次元Euler方程式で可解性が知られているような初期渦度に対する二次元Filtered-Euler方程式の解は、正則化パラメータ極限で対応する二次元Euler方程式の解へ収束することがわかった。また点渦初期渦度についても考察し、二次元Filtered-Euler方程式の点渦解が正則化パラメータ極限において、衝突時刻を除いて点渦系の解に収束することを証明した。 2.点渦系のN体問題における自己相似衝突解に関する研究を行った。結果として、点渦系の4体から10体問題に対して、点渦の強さに一様性を課した場合に、自己相似衝突を起こす点渦の初期配置の集合がハミルトニアンをパラメータとして連続的であり、その極限として相対的定常解が現れることを数値計算を通して明らかにした。特に4体問題については相対的定常解の具体的な点渦配置を解析的に求めた。さらに、一般の点渦の強さにおける自己相似衝突解についても、7体問題の具体例を通して、初期値集合のハミルトニアンに対する連続性とその極限での相対的定常解の存在を数値的に示した。また、極限状態として部分衝突状態の点渦配置が現れるような初期値集合も存在することも確認した。
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