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2020 年度 実績報告書

温度刺激が骨格筋の運動に対する応答に及ぼす影響:カルシウムイオン動態に着目して

研究課題

研究課題/領域番号 19J00089
研究機関電気通信大学

研究代表者

高木 領  電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2022-03-31
キーワード温度 / 損傷 / アイシング / 適応 / リアノジン受容体 / イメージング / in vivo / 収縮
研究実績の概要

アイシングは骨格筋損傷後の応急処置として伝統的に行われている. しかし, その是非は今でも議論されている. 今回, 温度低下が骨格筋損傷に及ぼす影響の基礎知見を得るために, 受入研究室が先駆けて発展させているin vivoバイオイメージング手法により筋損傷における重要制御因子である細胞内カルシウムイオン濃度動態を生体内環境でリアルタイムに調べた.
伸張性収縮による筋損傷モデルでは, 収縮直後に部位特異的な細胞内カルシウムイオン濃度上昇部位が生じ, 時間経過とともに線維内を伝播, または新たに発生することが明らかとなった. 温度介入では, 対照温度を30℃として, 20℃または10℃と温度を低下させた際の濃度上昇部位の拡大を定量化した. その結果, 30℃と比較して10℃で濃度上昇部位の拡大が有意に増加することが明らかとなった. また温度低下に伴う濃度上昇部位の拡大促進は, 10℃から30℃へと再温することで可逆性の動態応答を示した. そこでカルシウム関連因子としてリアノジン受容体に着目し, その阻害実験を行った. リアノジン受容体阻害により温度低下による拡大促進は消失し, さらに伸張性収縮誘発性の濃度上昇部位も消失した. アイシングが筋損傷に及ぼす影響について, 明らかとなった細胞内カルシウムイオン濃度動態への影響が実際に筋機能や筋線維の形態変化にまで影響を及ぼすかどうかを検証した. 損傷後の筋発揮力は, 常温水の袋を当てた対照群と氷水の袋を当てたアイシング群ともに損傷1日後より2日後で一層低下したが, 平均してアイシングにより筋機能低下は悪化した. 筋線維像においても, アイシングにより筋線維の変性は増加した.
これらの結果は, 運動誘発性筋損傷モデルのアイシングの是非を問うものであり, 温度低下が損傷応答に及ぼす影響に関する重要な基礎知見となる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は初年度から取り組んでいた成果をまとめ, 論文掲載に至った. またその中で得られた所見を元に次のテーマに発展しており, 順調にデータが得られているためにおおむね順調に進展しているものと考えられる.

今後の研究の推進方策

本年度は, 過度な運動による筋損傷に対する温度低下の影響に関する成果をまとめた. 次年度は, 温度低下が安静時の骨格筋に及ぼす影響に焦点を当てる予定である. 初めに, 温度低下による筋収縮モデルを作製し, その後温度低下が引き起こす筋適応を調べる予定である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] In vivo Ca2+ dynamics during cooling after eccentric contractions in rat skeletal muscle2021

    • 著者名/発表者名
      Takagi Ryo、Tabuchi Ayaka、Asamura Tomoyo、Hirayama Seiya、Ikegami Ryo、Tanaka Yoshinori、Hoshino Daisuke、Poole David C.、Kano Yutaka
    • 雑誌名

      American Journal of Physiology-Regulatory, Integrative and Comparative Physiology

      巻: 320 ページ: R129~R137

    • DOI

      10.1152/ajpregu.00253.2020

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 伸張性収縮後のアイシングが筋線維内カルシウムイオン濃度と骨格筋機能に及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      高木領, 狩野豊
    • 学会等名
      第75回日本体力医学会大会
  • [備考] 電気通信大学 狩野研究室 Kano Lab.

    • URL

      http://www.ecc.es.uec.ac.jp/

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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