研究課題/領域番号 |
19J00101
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平木 剛史 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | 拡張現実感 / プロジェクションマッピング / デジタルファブリケーション / ソフトロボティクス |
研究実績の概要 |
多波長光源を用いた紫外線投影 / 熱投影が可能なプロジェクタの開発と、 熱投影による相転移アクチュエータの駆動制御とそのファブリケーション手法についての開発、そしてリアルタイムに投影情報を更新可能なPVLCプロジェクタの技術基盤の確立に取り組んだ。 紫外線投影が可能なプロジェクタの開発については、DLPプロジェクタに紫外光源を追加して実現することとした。本プロジェクタでは、可視光源と紫外光源の双方を同軸光学系で制御できるため、画素単位での映像と紫外線の同時投影が可能となる。また、光源制御においては、可視光源 (RGB) と紫外光源の4つの光源を、RGBの3つの光源を制御する信号を4光源用に変換する手法を用いることで、プロジェクタの仕様に沿った形での投影制御を実現した。 赤外光源の追加による熱投影については、想定していたレーザー走査型プロジェクタへの組み込みでは機能しないことが事前の検討で明らかとなったため、赤外レーザーを光源とするレーザー走査型プロジェクタの開発によって実現した。加えて、熱投影による相転移アクチュエータの駆動制御とそのファブリケーション手法についても開発した。 リアルタイムに投影情報を更新可能なPVLCプロジェクタの技術基盤の確立については、FPGAによるハードウェア演算でリアルタイムに映像と情報を更新可能なPVLCプロジェクタを開発した。また、性能では劣るものの、安価かつ小型のDLPプロジェクタ開発キット を用いてリアルタイムに映像と情報を更新可能なPVLCプロジェクタを実現できることを確認し、このプロジェクタと、複数の受光回路を埋め込んだ投影対象物体を用いることで、受光した位置情報を用いた動的プロジェクションマッピングシステムを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
多波長光源を用いた紫外線投影 / 熱投影が可能なプロジェクタの開発と、そしてリアルタイムに投影情報を更新可能なPVLCプロジェクタの技術基盤の確立について、期待通りの研究の進展があった。加えて、計画では次年度以降に着手予定であった、熱投影による相転移アクチュエータの駆動制御とそのファブリケーション手法についての開発についてもすでに良好な成果を挙げていることから、当初の計画を上回る速度で研究が進展していると言える。 また、専用のハードウェアにより実現する予定であったリアルタイムに投影情報を更新可能なPVLCプロジェクタについて、市販されているハードウェアを活用することでも実現し、これを用いて動的プロジェクションマッピングの技術基盤を確立した点も、当初の期待以上の進展であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
紫外線投影の可能なプロジェクタシステムについて、紫外線投影を映像投影と同時に実現するプロジェクタ技術を確立すると共に、これを用いたフォトクロミック素材の発色制御を実現することで、明るい環境におけるプロジェクションマッピングの高コントラスト化を実現し、その有効性を評価する。また、同時に家庭用プリンタを使用した印刷によりクロミックインクの塗布手法と、3Dプリンタを用いた物体とインクの同時出力によるクロミックインクの塗布手法を開発し、その設計精度や自由度、発色について評価する。そして、やわらかな変形が可能な投影対象物体を、相転移アクチュエータや形状記憶材料を組み込んだソフトロボットとして設計、製造し、これらをプロジェクション技術を用いて制御する手法について構築していく。
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