研究実績の概要 |
分子系統解析において必要となる比較対象である多毛類の各科、なかでもハボウキゴカイ科、クマノアシツキ科、ミズヒキゴカイ科の標本を引き続き重点的に収集した。これらの標本はそれぞれCOI, 16S, 18S, 28Sの遺伝子領域配列を既に決定した。これらの種においては分類学的な整理をまず行い、未記載種である場合は記載した(または記載している最中である)。南極域から採集した多毛類の未記載種についても分類学的な整理を行いこれを記載・命名した。その他の成果についても論文としての出版を行った。分子系統解析については現在多くの共同研究者と共に協調して進めている。 また、骨片を持つ複数種の多毛類を追加で発見し、これについて骨片の組成・その系統的位置等の詳細な解析を行い一部は論文として出版した。骨片の獲得には様々な要素があるが、その一端として間隙生活との関係が示唆されたが、それを結論づけるにはさらなる事例の観察が必要となる。骨片の獲得機構の進化において新たな視点を提示することができ、本研究課題において重要な成果をあげることができたと考えている。今後も骨片を獲得したことが示しやすい系統的な位置にある生物を更に発見していくことができればと考えている。 その他の比較用サンプルについても採集を進めており、順調に採集・形態観察・遺伝子解析を進めることができている。これについては随時論文として出版し分類学的な整理を行うことで整理していく予定である。
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