昨年度に引き続き屍体足の二方向X線透視画像と足部骨格モデルを用い、静荷重に伴う足骨動態の解析を行った。COVID-19の感染拡大の影響により、本年度も屍体実験の遂行が困難であり、新たな計測データを得ることができなかった。これまでの研究結果から、静荷重負荷に伴い足部内では踵骨の外反とそれに伴う距骨の内側並進・内旋運動,脛骨の内旋運動(後足部と下腿の協調運動)が生じること、踵骨と距骨の形態変異がこのような下腿と後足部の協調運動を規定し、足部疾患の病態発生に関与することが推察された。そこで、今年度は足部疾患を有する症例に特徴的な踵骨及び距骨の形態変異を解析した。昨年度、セミランドマークを用いた踵骨の形態解析手法を確立した様に、距骨に関しても同様の形態解析手法を確立した。この解析手法を用い、外反母趾角度に関連する踵骨と距骨の形態変異を解析した。その結果、踵骨及び距骨には外反母趾角と関連した骨形態変異が存在することが明らかとなった。
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