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2019 年度 実績報告書

環境遡及ウイルス学の創出:海底堆積物に含まれる水圏ウイルスの進化履歴推定

研究課題

研究課題/領域番号 19J00346
研究機関高知大学

研究代表者

高橋 迪子  高知大学, 自然科学系, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2022-03-31
キーワード渦鞭毛藻ウイルス / 赤潮ウイルス / 海底堆積物 / Degenerate PCR
研究実績の概要

初年度は、渦鞭毛藻感染性ウイルスHcRNAVとその近縁群のキャプシドプロテイン(CP)をターゲットとした縮重プライマーを設計し、高知県内で採取した海底堆積物試料に適用した。
縮重プライマーは、HcRNAVのCP配列における保存性の高い領域をターゲットに設計した後、最適なPCR系を決定した。現場試料は、渦鞭毛藻を含む赤潮が頻繁に発生している高知県浦ノ内湾において、全長約60 cmの海底堆積物を採取した。採取したコアは表層から3 cmずつ切り分け、核酸抽出ならびにPb-210・Cs-137法を用いた年代測定に供した。海底堆積物コアの各層から抽出したRNAは縮重PCRの後、次世代シークエンサーによるアンプリコンシークエンスに供した。その結果、複数の堆積層からHcRNAVあるいは近縁ウイルスのCP配列を取得することに成功した。得られた配列を系統解析したところ、塩基配列レベルの相同性がみられなかった場合でも、アミノ酸配列に翻訳することで同一の配列をコードしているケースが確認された。このことから、ウイルスのキャプシドをコードする遺伝子領域内では、塩基配列レベルでの変化は許容されているが、アミノ酸レベルとしてはきわめて保存的な配列に集約される傾向にある可能性が示唆された。現在、これらのデータを国際誌として投稿するための準備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は現場試料の採取、渦鞭毛藻ウイルスのMCP領域をターゲットとしたプライマーの設計、設計したプライマーセットの現場試料への応用、海底堆積物のアンプリコンシークエンスを実施した。現在、得られた配列データをもとに系統解析ならびにMCPの構造推定に取り組んでおり、当初の計画通りおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

次年度は海底堆積物試料から得られた縮重PCR産物の配列を元に、キャプシドプロテインの構造推定を実施し、宿主特異性を精査する。あわせて、Heterocapsa circularisquamaおよびHcRNAVの定量PCR系を設計し、同試料に適用することで、海底堆積物の各層におけるターゲットの存在量を検討する。
さらに、FLDS(Fragmented and loop primer ligated dsRNA sequencing)を用いて海水試料からの渦鞭毛藻ウイルスを網羅的に検出する。ウイルスキャプシド、ならびに複製過程にあるdsRNA配列から、両者の配列を元に水圏中におけるウイルスの進化履歴の推定が可能か検証する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Retrospective approach for analyzing past dynamics of a bloom-forming alga and its infectious virus2019

    • 著者名/発表者名
      Keizo Nagasaki, Yoshihito Takano, Kouki Tanaka, Masafumi Murayama, Kazuno Arai, Michiko Takahashi, Yuichi Masuda, Yuji Tomaru, Kei Wada
    • 学会等名
      International Symposium on Aquatic Metagenomics 2019
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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