2021年度に予定している宇宙赤外線背景放射観測ロケット実験CIBER-2の第一回観測に向けて、地上での測光校正試験の準備を進めた。高い精度で校正を行うために、可視光用標準光源や近赤外線用黒体炉の安定性を調査するとともに、使用する積分球から放射される面光源の一様性を測定した。 小型天文衛星HiZ-GUNDAMに搭載される近赤外線望遠鏡の試験用モデルの開発を進めた。2021年度からの製作に向け、シミュレーションにより、光学系および構体の熱構造を設計した。また、アルミニウム製望遠鏡に蒸着するのに適当な金属膜を調査するために、試験用アルミニウム基板を製作し、それぞれに金、銀等の蒸着および二酸化ケイ素保護膜の蒸着を行った。それらを異なる湿度環境に保管し、定期的に反射率を測定することにより、反射率の時間変化を調査した。約6ヶ月間の測定の結果、高湿度環境に保管した基板では、反射率が数パーセント低下することが観測されたが、低湿度環境に保管した基板では、初期の反射率が維持された。このことから、反射率を維持するためには、望遠鏡の保管環境が重要であることが示唆される。 宇宙背景放射探査機COBEに搭載された赤外線観測装置DIRBEのデータを詳細に解析することにより、これまで見逃されていた等方的な惑星間塵の成分を見出した。また、その成分を考慮して導出した近赤外線における宇宙背景放射は、通常の銀河を足し合わせた光より大きいため、通常銀河に加えて未知の天体が存在する可能性が高まった。 宇宙背景放射の超過成分に寄与する天体の候補であるFaint Compact Objectsの特性を調べるために、ハッブル宇宙望遠鏡によって取得された可視光から近赤外線における画像データを解析し、明るさの時間変化を調査した。ソフトウェアを用いて測光方法を検証、改善した結果、明るさの時間変動が示唆された。
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