本研究は可搬型分析装置を用いることで現地にて、国内外各地にある資料を非破壊で調査することを基本方針としている。本年度は前年度の研究計画の変更を受け、国内所蔵資料を対象に研究課題に係る調査データの収集を進めた。前年度の状況を考慮し、実施環境や時期などを綿密に調整したうえで、千葉県四街道市/佐倉市の現地調査を数回にわたって実現した。報告書作成現在、解析中のものがほとんどではあるが、製品となるガラス玉だけでなく、鋳型に付着したガラスの調査を実現し、印旛地域(現在の千葉県)におけるガラスの流通・生産状況を知る興味深い情報を得ることができた。一部の調査成果は本年度中に論文として発表した。本件を中心に、前年度より調査件数を増やすことができ、本研究課題において重要となるデータを集めることができた。 また、調査方法についても改良を進め、新たな解析手法を導入した。これにより、調査データの解析の方法が増えたことで、これまで解析が困難であった資料(本研究の主対象であるガラス以外の資料など)に対する解析も実現可能になり、調査の幅が広がった。報告書執筆現在はまだ導入して間もないため、実績は蓄積できていないが、従来法と併用することでスムーズなデータ解析を行うことができる。その分、データの解釈に注力することができるため、解析手法の新規導入は良い成果につながることが期待される。このような研究方法・環境の整備を積極的に進めた。 また本年度でも国内外学会にも複数参加し、研究成果の公表および情報収集などに努めた。
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