研究課題/領域番号 |
19J00722
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
氏家 悠太 中京大学, 心理学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | 視聴覚統合 / 発達 / McGurk効果 / 他人種効果 |
研究実績の概要 |
本研究は、顔と音声の視聴覚統合の発達における「顔の人種」の影響を明らかにすることを目的とする。 令和元年度は、成人と乳児を対象とした行動実験データから、顔と音声の視聴覚統合において他人種効果がみられることを明らかにした。乳児を対象とした研究では、生後5-6か月、8-9か月の日本人の乳児を対象に、マガーク効果における他人種効果を検討し、その結果、生後5か月以降の乳児では、親近性の高い自人種顔に対してマガーク効果を知覚するが、親近性の低い他人種顔ではマガーク効果を知覚しないことが示された。追加の実験により、話者のアクセントの違いに関わらず、このような他人種効果がみられることが示された。さらに、フランスの共同研究先での実験結果から、視覚環境が異なるフランスの乳児は、日本人顔に対してマガーク効果を知覚しないことが明らかとなった。次に、成人を対象とした研究では、日本人大学生を対象に、マガーク効果の知覚成績が話者の人種によって異なるかを検討した。その結果、乳児と同様に、親近性の高い自人種顔の刺激では、他人種顔の刺激と比べて、マガーク効果の錯覚量が高いことが示された。マガーク効果の錯覚量は口元の注視との関連が示唆されていることから、続く実験では、顔の呈示範囲を操作した条件を追加し、同様の手続きで実験を行った。その結果、口元のみを呈示している場合でも、顔全体を呈示している場合と同様に、他人種顔と比べ、自人種顔の刺激に対してマガーク効果の錯覚量が高いことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに行動実験が完了し、期待通りの結果が得られている。現在までの研究の達成度は概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、行動実験により、顔と音声の視聴覚統合の発達に「顔の人種」が影響することを明らかにした。令和2年度は、脳機能計測を用いてその脳内機構を明らかにすることを試みる。一方で、国内の情勢により、実験実施が一定期間行えず、脳機能計測が滞る可能性も考えられる。そのため、顔の接触経験とも関わりのある、対人コミュニケーション様式の多様性に関する調査についても、オンライン調査などを活用し、並行して進める。
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