2019年度の成果は後述の通り、所得分配に関する成果が主たるものであった。本研究はリベラリズムでの概念『責任感応的平等主義』を用いた実証分析での結論とそのインプリケーションである。これまで設計してきたパネルデータなどを用いてcmpモデルを使ったヘックマン二段階推定によって、「自発的な選択者」自身やその両親の社会経済的バックグラウンドや社会環境から、もし仮に周辺環境が整備されていたら得られていたであろう賃金や教育水準を推計するものである。この研究報告を計画していたところ、2019年度のSASE学会ならびに12th Next-Generation Global Workshopで報告し、論文が採択された。因果性を考慮した上での就労行動や所得の問題については、橘木俊詔・迫田さやか(2020)『離婚の経済学 愛と別れの論理』にて研究成果を報告する。 また、不倫は誰がなぜ不倫を行うのかという研究も合わせて開始した。これは、不倫という非合理的な選択を取ることを探求するものであり、本研究課題にも応用することが可能である。 あわせて、アウトリーチ活動として宮城県気仙沼市唐桑町の町づくり協議会のメンバーとして、非合理的な選択を行う者とその補償政策について研究報告書をまとめた。 本研究課題報告については、京都大学で開催された12th Next-Generation Global Workshopやジェンダー研究会での報告を行った。
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