研究課題
2020年度は、採用辞退までの4か月間のうちのほとんどの期間が在宅勤務を余儀なくされたため、前年度までに取得した実験データの解析と理論解析による材料転写機構の考察のほか、狙ったCNTカーボンナノチューブ微小共振器に結合させる実験に絞って研究を行い、これまでの成果を論文にまとめた。転写を媒介する分子結晶とカーボンナノチューブ間の相互作用について実験および分子動力学シミュレーションの両面から議論を行い、強い相互作用を持つナノチューブの原子構造の傾向を得ることができ、収率の向上へのヒントを得ることができた。また、特定の波長に鋭い共振モードを持つフォトニック結晶光共振器とCNTを決定論的に結合させ、高効率で挟線幅の発光デバイス作製のデモンストレーションを行った。フォトニック結晶光共振器を用いることで物質からの光子の自然放出レートを増大させることができる(パーセル効果)一方で、そのような増強が得られる領域は空間的にもスペクトル的にも非常に小さい。つまり、CNTと光共振器の高効率な結合を達成するためには、原子レベルで構造が適合したCNTを1 μm以下の位置精度でする必要が生じる。研究室内の共同研究者の協力のもと、微小光共振器を作製し、それによる電場増強を最大化しつつナノチューブ内励起子の非発光再結合を抑制するナノスペーサーとして六方晶窒化ホウ素の複合構造を用意し、その構造に対して適合するナノチューブを転写した。実際に空間的・スペクトル的に高い精度で結合することが確認でき、原子レベルで定義された材料を自在に操り、多彩なナノ構造体と組み合わせて光デバイスを作製可能であることを示すことに成功した。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件)
APL Photonics
巻: 6 ページ: 031302~031302
10.1063/5.0042635
ACS Photonics
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