• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

ミトコンドリア外膜上で起こる分解経路の生理的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19J00899
研究機関京都産業大学

研究代表者

篠田 沙緒里  京都産業大学, 生命科学部, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2023-03-31
キーワードミトコンドリア / ミトコンドリア品質管理 / 機能性RNA / RNAseq / ミトコンドリア輸送
研究実績の概要

ミトコンドリアはエネルギーを産生するオルガネラである。ミトコンドリアは独自で合成するタンパク質以外に、ミトコンドリア外からタンパク質や脂質を取り込むことで正常機能を維持している。細胞の生命活動には、タンパク質や脂質だけでなく機能性RNAも重要な役割を担う。ミトコンドリアが原核生物由来であるとすると、タンパク質や脂質と同様に機能性RNAもミトコンドリア内で機能している可能性が考えられる。これまでに、ミトコンドリア内のRNAの探索が行われ、ヒトや酵母で核コードRNAがミトコンドリア内に入ることが報告された。しかし、ミトコンドリアの機能に関する詳細な解析はほとんどない。本研究はミトコンドリアの中に核コードされたRNAが存在するかどうかを含め、ミトコンドリア内の新規RNAの網羅的探索を行う。
これまでに、酵母から密度勾配遠心法により精製したミトコンドリア内に存在するRNAを次世代シーケンサーを用いて解析した。しかし、サイトゾルに多量に存在するRNAの除去が困難であることが明らかとなった。そこで、ミトコンドリア内のRNAのみを高純度に精製するために、APEX2タンパク質による近傍標識法を用いてミトコンドリア内のRNAをビオチン化する実験系の構築を検討した。酵母にAPEX2を発現させ、ビオチン誘導体と過酸化水素を加えビオチン化反応を行った。しかし、タンパク質およびRNAはほとんどビオチン化されなかった。これは、細胞壁によるビオチン誘導体の取り込み効率の低さだと考え、凍結融解法によりセミインタクト化した酵母を用いたところタンパク質およびRNAのビオチン化が検出できた。以上の結果から、ストレプトアビジンを用いたビオチン化RNAの精製を行うことで、ミトコンドリア内のRNAの濃縮が可能になることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年に得られたRNA-seqの解析を引き続き行い、従来のミトコンドリア精製法ではミトコンドリア内に存在するサイトゾル由来のRNAを同定することが難しいことを明らかにした。そこで、目的RNA を標識し精製することでミトコンドリア内のRNAの濃縮を試みた。その結果、酵母を用いて細胞内のRNAのラベル化が可能であることがわかった。今後RNAの精製条件を検討することで、ミトコンドリア内に濃縮されたRNAの同定が期待できる。従って、おおむね順調に進展していると自己評価した。

今後の研究の推進方策

来年度は、ビオチン化したRNAを濃縮しRNA-seqを行い、ミトコンドリア内に存在するサイトゾル由来のRNAの探索を行う。まず、RNAのラベル化条件を詳細に検討し、多量にRNAをビオチン化できる条件を確立させる。酵母でラベル化効率の向上が見込めない場合は、哺乳類細胞を用いてRNAのラベル化を検討する。さらに、ラベル化したRNAをストレプトアビジンとの結合により精製し、RNA-seqを行う。得られたミトコンドリア内に存在する可能性のある核コードRNAの候補群については、前年度と同じく以下の解析を行う。まず、qPCRやノザンブロット法を用いて、候補RNAがミトコンドリア内に存在するかどうかについて個別に再検証する。また、FISH法を用いてRNAの細胞内局在解析も行う。ミトコンドリア内の存在が確認されたRNAについては、酵母もしくは哺乳類細胞を用いてノックアウト細胞を樹立し、ミトコンドリアの機能への影響を検証する。さらに、同定したミトコンドリア内に存在する核コードRNAを指標として、ミトコンドリア内へRNAを輸送するトランスロケータの探索を行い、ミトコンドリアへのRNA輸送の分子機構の解明を目指す。

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi