研究課題/領域番号 |
19J00954
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
竹之内 惇志 国立極地研究所, 研究教育系, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | 普通コンドライト / 希ガス年代測定 / 衝撃変成作用 |
研究実績の概要 |
当該年度は、昨年度選定した隕石試料の詳細な組織観察、及びAr-Ar年代分析を進めた。現在分析中の試料は合計42試料となった。組織観察に関しては、昨年度全体マップを取得した隕石について国立極地研究所に設置してある走査型電子顕微鏡により詳細観察を進めており、8割程度観察が終了した。全く衝撃を受けていない試料や高圧鉱物を含む試料、一度高圧を経験してから加熱された試料など様々な度合いの衝撃変成作用が観察された。Ar-Ar年代分析に関しては、当該年度の前半において、分析を行っていた東京大学の施設への立ち入りが制限されていたため、進めることができなかった。後半に入ってから分析を進め、10試料程度分析を行った。得られたデータの処理に関して計算方法の改良・見直しを行い、より精度よく年代を求めることが可能となった。 また、当該年度は測定数を増やすために、国立極地研究所にて新たに隕石試料の貸与の申請を行った。また、Ar-Ar年代の分析数も増やすために京都大学複合原子力科学研究所にて追加で25試料の中性子線照射を行った。これらの試料は今後回収次第分析を進めていく予定である。 今年度は衝撃変成についての研究について、地球惑星科学連合大会にて招待講演を行った。国際隕石学会は中止となったが、日本鉱物科学会年会、南極隕石シンポジウム、月惑星科学会において発表を行った。本研究の目的である衝撃変成組織観察とその年代測定を対応付けた研究について、現在論文を1本投稿している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はコロナの影響で前半にAr-Ar年代分析を進めることができなかったが、一方で組織観察は大きく進展した。選定した試料の衝撃変成度は全く衝撃を受けていないものから、高圧鉱物を含むもの、一度衝撃を受けてからアニールされたもの、複数回の衝撃を記録しているものなど多様であることがわかった。それらの試料の衝撃変成の年代を測定していくことで、本研究の目的である天体衝突の時代変化を追うことが可能であると期待される。Ar-Ar年代分析も年度の後半から測定可能となり、順調に分析を進めることができた。 次年度は年度の始めから分析を進めることが可能であるため、目的の分析数を達成することが可能であると考えられる。 学会での発表についても、1つの学会が中止になったが、その他の学会では研究成果の発表を行うことができた。また、論文に関しても夏に国際誌に投稿し、現在レビュー中である。
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今後の研究の推進方策 |
組織観察についてはおおむね完了したため、今後は主にAr-Ar年代の測定を進めていく予定である。昨年度放射化した試料について回収次第順次分析を進めていく。年代分析と組織観察を行った試料についての結果をまとめて、総括を行う。 結果については、順次学会での発表を行い、モデルとの比較を行い、論文を国際誌へ投稿する。
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