研究課題/領域番号 |
19J01089
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山内(石川) 祐 東京大学, 医科学研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2023-03-31
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キーワード | 老化 / 雌性生殖器 / 受精 / 着床 / 胎盤 / ゲノム編集 / CRISPR/Cas9 |
研究実績の概要 |
本研究では妊娠中の胎仔と母体をつなぐ胎盤に着目している。昨年度、既報のトランスクリプトーム解析から選定した候補遺伝子についてCRISPR/Cas9システムを用いて遺伝子欠損マウスの作製を行った。加えて、自然加齢させたメスマウスを用いて、加齢に伴う雌性生殖器の変化についても解析を行っている。 (1) 作製した雌雄それぞれの遺伝子欠損マウスを用いて、妊孕性の確認のため交配実験を行った。その結果、複数の遺伝子欠損マウスにおいて妊孕性が低下していることがわかった。現在も継続して交配実験を行っており、さまざまな掛け合わせによる表現型の確認を進めているところである。妊孕性の確認ができ次第、次年度以降直ちに組織学的な解析を進める予定である。 (2) 昨年度から継続して若齢メスマウスと自然加齢させたメスマウスを用いて、胎盤を形成する以前の胚盤胞、卵子、および排卵時の卵丘細胞についてトランスクリプトーム解析を行った。老化細胞が分泌すると報告されている老化関連分泌表現型(SASP)関連遺伝子の発現を比較したところ、加齢メスマウスの卵丘細胞において遺伝子発現が変化していることが分かった。また、胚盤胞および卵子のトランスクリプトームでも加齢による遺伝子発現の変化が認められた。今後は胎盤形成や胚発生に関与する遺伝子が加齢によってどのように影響を受けているのかを明らかにするために詳細なデータ解析を進めるとともに、同定した遺伝子についてin vitroで検証できるよう実験系の構築を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 胎盤関連遺伝子および雌性生殖器関連遺伝子の遺伝子欠損マウス作製 第1年度目にCRISPR/Cas9システムを用いて作製した7つの遺伝子欠損マウスについて交配実験を行い、雌雄マウスの妊孕性を確認した。その結果、複数の遺伝子欠損マウスで妊孕性の低下が認められた。交配実験のスクリーニングにより、今後解析を進めていく遺伝子欠損マウスを得ることができた。 2. 自然加齢メスマウスの雌性生殖器を用いたトランスクリプトーム解析 第1年度目から引き続き、解析個体数を増やしてトランスクリプトーム解析を行うことができた。その結果信頼度の高いデータを得ることができ、加齢に伴って変化する遺伝子の解析が当初の予定よりも進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1. 胎盤関連遺伝子および雌性生殖器関連遺伝子の遺伝子欠損マウス作製と解析 現在も継続して交配実験を行っており、さまざまな掛け合わせによる表現型の確認を行う。次年度以降は交配後の雌ホモマウスから日齢毎に胎盤を回収して組織学的な解析を進めるとともに、マーカー遺伝子を用いて胎盤形成能の比較・検討を行う。また雌性生殖器に関連する候補遺伝子についても交配実験等を行い、解析を進めていく予定である。 2. 自然加齢メスマウスの雌性生殖器を用いたトランスクリプトーム解析 加齢メスマウスの卵丘細胞においてSASP関連遺伝子の発現が変化していたため、卵丘細胞の機能評価を行うためにin vitro実験を予定している。同様に胚盤胞および卵子についても、胎盤形成や胚発生に関与する遺伝子の詳細なデータ解析を進める。
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